体操の内村航平が引退会見(全文1)本気で選手としてやっていくのは厳しいと感じた
今はどのような気分か
テレビ朝日:内村さん、本当に素晴らしく長い競技人生、お疲れさまでした。まずは今のお話をされている最中、すごく笑顔が多かったように思いましたが、私自身、競技人生を振り返ったときにすごくすっきりした気分で引退会見を迎えることができたんですが、内村さんの今の実際の気分っていうのはどのようなものでしょうか。 内村:実際、あんまりよく分かってないです。あんまり辞めたいとは思ってないというか、やれるならいつまででもやりたいと思っていたので。でもやっぱり世界選手権に向かうまでで、ちょっと今後はもう、本気で選手としてやっていくのは厳しいなっていうふうに感じたので引退という決断をしたんですけど、僕の中ではそこまで重くも、そしてすっきりも捉えていないというか。たぶん、まだ3月までやるというのがあるので、今こういう心境なのかもしれないですけど、世界選手権に向かうまでは結構、ああ、これが最後なのかなみたいな気持ちではありましたね。本当に実際よく分かっていないというのが本当に今一番の心境です。 テレビ朝日:ありがとうございます。そしてあらためて30年の体操人生を振り返って、どんな競技人生でしたか。 内村:実績だけ見ると、結果はかなり残せたかなとは思うんですけど、実際今振り返ると、まだまだやれたな、あのときああしておけばよかったなっていうのもすごく思うので、本当に自分の競技人生に満足ができているかっていうと、そうではないかなと思いますね。まだまだあのとき、もっとやれただろっていうのがすごく思います。 テレビ朝日:ありがとうございます。そして今一番感謝を伝えたい方はどなたでしょうか。 内村:今は、いろんな人がいますけど、その中でってなるとやっぱりコーチの佐藤ですかね。
最もこだわってきたもの、誇れるものは
テレビ朝日:どういう思いを伝えたいですか。 内村:いや、もうこの5年間一緒にマン・ツー・マンでやってきて、かなり迷惑も掛けたし、本当は最後、オリンピックで金メダルを掛けてあげたいなっていう気持ちはあったんですけど、それができなくてちょっと残念だったなっていう気持ちもあるし。ただ2人で体操を研究してきたという、一緒に練習してきた、コーチと選手っていう関係ではなく、同じ立場というか、本当に研究する立場っていう感じでやってこれたし、もう本当にこの場で、少しの時間で語り尽くせないぐらい濃い時間を共に過ごしてきたので、今ここに立っているのも彼のおかげかなと、本当に素直に心から思っているので、本当にそう感じています。 テレビ朝日:ありがとうございます。ご自身の体操の中で、最もこだわってきたもの、そして誇れるものはなんでしょうか。 内村:着地です。これまで散々、個人総合で優勝してきた場面でも、やっぱり鉄棒の着地、全種目ですね、そこはこだわって、世界チャンピオンとして、オリンピックチャンピオンとして、着地を止めるっていうのは当たり前のことだと思ってやってきたので、現役選手として最後の舞台になった世界選手権の最後も、どういう演技でもいいんで、着地は絶対に止めてやろうっていう気持ちでやれたので、そこは自分がこだわりを持ってやってきたのと。本当に最後の意地を見せられたっていう思いがあるので。 もちろん美しく見せるとか、ほかの選手と同じ技でも、違うような動きみたいに見せたりっていうのももちろんあるんですけど、やっぱり着地を止めているっていう印象を皆さんもお持ちだと思うし、僕自身もそこを本当に追い求めてやってきたので、そこかなと思います。