「プレミア12」の魅力と価値【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第142回
WBSCプレミア12、第3回大会が終わりました。 まずはチャイニーズ・タイペイの選手、球団関係者、そしてファンのみなさま、優勝おめでとうございます。 【写真】山本キャスターの最新フォトギャラリー 私は中継内のキャスターとして携わった同大会でしたが、決勝の日は担当ではなかったため、試合中は東京ドームを訪れたファンの方を中心にお話を聞いて回っていました。そのなかで、台湾から応援に来たというあるファンの言葉が強く印象に残っています。 「"台湾"の旗を振れてよかったです。日本のみなさんに感謝しています」 決勝戦で3安打を放ち、見事MVPに輝いたキャプテンのチェン・ジェシェン選手が、5回にホームランを放ってダイヤモンドを駆ける際、胸元を手で囲むポーズを見せたことが話題になりました。日本代表ユニフォームの胸元には「JAPAN」とあるけれど、彼らの胸元に「TAIWAN」の文字はありません。 東京ドームに掲げられたのも、優勝の瞬間にビジョンに映し出されたのも、あのトリコロールの「青天白日旗」ではありませんでした。けれど応援席で自由に旗を振り、それが当たり前のように受け入れられていたあの空間は、ファンの方にとってかけがえのないものだったそう。 ファンの熱気や、優勝後の選手たちの涙を目の当たりにして、"台湾"として"台湾"を誇れる瞬間を渇望していたのだと感じるとともに、祝福の思いが強くなるばかりでした。本当におめでとうございます。 そんな台湾に惜しくも決勝戦で敗れ、悔しさのなかで幕を閉じた今大会の日本代表。宮崎でのキャンプに始まった今回のメンバーは、代表初選出の選手が多くいたり、若手が中心だったりと、始めはどこか控えめな雰囲気でしたが、日を追うごとにチームに一体感が生まれていくのを感じていました。最後は敗れてしまったけれど、本当に強かったですよね。 初選出だったロッテの佐藤都志也選手は、「日本代表の重圧を感じる」としながらも、「そこを打破できた感覚が自身にとって大きな財産だ」と話していました。ピンチの連続のなかで、こういう時にキャッチャーはどうしたらいいのだろう、ピッチャーにどんな声をかけたらいいのだろう、試合に出なくても何か力になれることはないかと、ずっと考えていたのだとか。