「プレミア12」の魅力と価値【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第142回
そんな佐藤選手とキューバ戦でバッテリーを組んだ楽天の早川隆久投手は、佐藤選手の1学年下にあたるわけですが、「試合内外で佐藤選手がコミュニケーションもリードしてくれた」と話していました。シーズン中はライバルでも、多くのことを共有していくなかで、同じく優勝を目指すチームメイトとして結束力を強めていく。言葉にするのは簡単だけれど、試合を追うごとにそれを体現していくのを感じていました。 先述のとおり、今回は番組キャスターとして関わることができ、私の人生においても大きな財産となる貴重な経験ができました。取材を重ねるごとに思い入れが強くなっていっただけに、このチームの解散に寂しさを感じます。 来シーズンも活躍を追っていきたい選手がぐっと増えたわけですが、スワローズ以外の選手にここまで深く入れ込んで見るのは初めてかも。これもまた、国際大会のよさでもありますね。 何より、長いシーズンを終えたあとにこの時期まで戦い抜いた選手のみなさんには、尊敬の念が尽きません。本当にお疲れさまでした。熱戦をありがとうございました。 さて、このプレミア12という大会。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が主催しており、出場チームは同団体が定める世界ランキングをもとに決まっています。MLBの40人枠に入っている選手は出場することができないため、マイナーリーグの制度を除き、必然的に「国内リーグ最強決定戦」のような位置づけになっていると思うのですが、それゆえ各国の若手有望株が見られることも魅力であり、この大会の価値だと感じています。 今大会でも、決勝戦で登板したリン・ユーミン投手や、オーストラリア代表でMLBドラフト全体1位指名を受けたバザーナ選手、アメリカ代表のショー選手など、数年後にはMLBの舞台で羽ばたいていそうな選手のプレーが見られたことも嬉しいですよね。 第4回大会は2027年に予定されており、出場チームも16ヶ国に拡大されることになっています。「プレミア16」は世界の野球を底上げするという意味でも、大きな役割を担っていくのではないでしょうか。 熱い戦いを期待しつつ、侍ジャパンが再びトロフィーを掲げる瞬間を夢見ながら、今日は筆をおきたいと思います。それではまた! 構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作