脱リチウムなるか…東京理科大が電池向け高エネルギー材開発、ナトリウムイオンを機械学習
東京理科大学の関根紗綾大学院生と保坂知宙助教(現スウェーデン・チャルマース工科大学)、駒場慎一教授らは、ナトリウムイオン電池材料を機械学習で探索し、高エネルギー材料を開発した。エネルギー密度は1キログラム当たり549ワット時。実験の効率化と材料開発の高速化を達成した。リチウムに依存しない電池になり得る。 研究室で蓄えてきた層状酸化物68種類の100データを人工知能(AI)モデルに学習させた。AIモデルは遷移金属の組成と上限下限電圧から初回放電容量や平均放電電圧などを予測する。1万物質の性能を予測し、そのうち205物質が有望と示唆された。 実際にナトリウムにマンガンとニッケル、チタン、鉄を添加した酸化物「MNTF」を合成した。すると初期放電容量は1グラム当たり169ミリアンペア時で平均放電電圧は3・22ボルト、エネルギー密度は1キログラム当たり549ワット時となった。AIモデルの予測値とほぼ一致した。 充放電を20回繰り返した後の容量維持率は予測値を下回った。MNTFの結晶構造変化や亀裂が原因と推定される。今後、劣化現象を加味したAIモデルを開発していく。