シェアハウスで生活も…奈緒が「様々な国の人との関わりを特別だと思わない」理由
多文化が共存する“サラダボウル”状態になりつつある日本。メディアには日々「外国人犯罪・外国人事件」という言葉が飛び交っているーー。言葉が独り歩きすることで一部に偏見や差別を生んでいる現状に一石を投じ、話題を呼んだ作品が、『クロサギ』を描いた黒丸氏による『東京サラダボウルー国際捜査事件簿ー』だ。 【写真】「全部受け止めてくれるという安心感がある」奈緒さんが信頼を寄せる方とは? “事件”と一括りにせず外国人居住者の暮らしや人生に光を当て、そこに向き合う刑事と通訳人の目線で“人間”を追った同作を、奈緒さん・松田龍平さんのW主演でドラマ10「東京サラダボウル」としてドラマ化。透明感のある役からコミカルな役まで、あらゆる役柄を自然体で演じる奈緒さんに、本作で描かれる多文化社会について、そして自身の海外への意識について話を聞いた。
できるだけ偏ったものの見方をしないよう意識しています
奈緒さんが演じるのは、ミドリ髪が目を引く東新宿署 国際捜査係の警察官・鴻田麻里(こうだまり)。日本人も外国人も分け隔てなく、助けを求める人に手を差し伸べる役柄だが、まず原作を読んで何を感じたのか? 「ニュースなどを見て、近年日本に居住されている海外の方の数は増えているのかなという印象を抱いています。日々さまざまな報道を見聞きしますが、私たちの元に届くのはあくまでも断片的な情報です。裏側にどういう物語があったのか、1人の人間としてのパーソナルな部分はどうだったのかについては、うかがい知ることができません。 ある情報だけで判断し、偏見を持ってしまうのは、すごく怖いことです。私自身、日頃からできるだけ偏ったものの見方をしないことを意識しているつもりなので、『東京サラダボウル』の原作を読んだ時に、心からこの作品と出会えてよかったと思いました。 そしてこの素晴らしい作品をドラマにすることで、さらにたくさんの人にこういう背景があることを伝えられるのではないかーー。自分が出演できることに、大きなやりがいを感じました」
いつか心の中のボーダーラインがなくなったらいい
本作のなかで鴻田は、一切の偏見を持たず、常に前向きかつニュートラルな姿勢で人と接する人間として描かれている。そんな彼女を見て、奈緒さんはどのような印象を受けたのだろう? 「彼女のように人と関われたらすごくいいですよね。鴻田さんは、相手が海外の人か日本の人かどうかにかかわらず、自分が見たことだけを信じます。そして自分の気持ちをちゃんと相手に伝えている。どちらもすごくシンプルなことですが、集団の中にいると実行するのが難しい場合も出てくると思うんです。 でもそれを彼女は、自身の確固たるポリシーとして守っています。すごくかっこいい主人公ですし、ボーダーラインを越えようとする鴻田さんの姿勢は、人間にとって普遍的に必要なことなんじゃないかなと思いました。 私たちが生きる世界には、様々なボーダーラインが存在します。私はいつかそれらがなくなったらいいなと思っているので、原作を読んで希望が持てましたし、読後はすごく晴れやかな気持ちになりました」