成熟2連覇の鍵山優真、4回転フリップ転倒も300点超え「経験から精神的に強くなる部分も」【NHK杯】
◇9日 フィギュアスケート グランプリ(GP)シリーズ第4戦・NHK杯最終日(国立代々木競技場) 男子は2022年北京冬季五輪銀メダルで昨季世界選手権2位の鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=が合計300・09点で大会連覇を果たした。ショートプログラム(SP)に続いてフリーも1位の194・39点をマーク。SP3位の壷井達也(21)=シスメックス=が合計251・52点の3位となり、GPシリーズで初の表彰台に立った。 鍵山の口調は、少しだけ硬かった。「ショートがノーミスだったのでフリーも頑張らなきゃ、という思いが強くなりすぎ、焦りが出てしまった。調整が最後までうまくいかなかった」。1本目の4回転フリップで回転不足を取られた上で転倒。最後は300点越えで優勝を果たしたが、喜色満面とはいかなかった。 冒頭の失敗から大崩れはしなかった。「普段の練習でも、失敗しても続けて行うという練習はしてきた。そこがよくできた」。練習通りに滑るとの信条を、貫いた。 転倒を引きずることなく、2本目の4回転サルコーと3本目の4回転―3回転の連続トーループを成功。それぞれで、3点を越えるGOE(出来栄え点)での加点を手にした。苦みも味わいつつ、GP王者への第一歩を踏み出した。 けがで苦しんだ22年夏から、始めたのは、徹底した自己管理。「生活をいちから見直した。食事や睡眠、ケア、トレーニング。本当にすべてを見直して改善した。毎日いい状態で練習できている」。日々の充実が、成長につながっている。 万難を排する自己管理に、ミスがあっても立て直す心の強さが加わった。「(理由は)経験ですかね。いい試合もありながら、悔しい試合もたくさんこなしてきた。経験から精神的に強くなる部分も感じている」。成熟したスケーターの顔で、鍵山は笑った。
中日スポーツ