変わりつつあるアスリートの休養―「これって誰の人生?」女子バスケ・馬瓜エブリン選手が日本代表を辞退した理由
2022年2月、東京オリンピックで銀メダル獲得に貢献した女子バスケットボール選手・馬瓜エブリン選手が、休養を理由に代表活動を辞退したことを公表した。当初はバスケットボール協会からも代表活動の継続を打診されたが、「今後も長くバスケットボールを続けていくため」に休むことを選択したという。馬瓜エブリン選手に限らず日本のスポーツ界は今、選手が休養することを選択し、組織がそれを認める“アスリートファースト”の考えが少しずつ浸透しつつある。(ラブすぽ/Yahoo!ニュース Voice)
スポーツ界で見直されつつある“アスリートの休養”
かつて日本のスポーツ界ではチームのため、勝利のために選手が身を粉にしてプレーし、“自己犠牲”をいとわない姿が美徳とされてきた。しかし近年、“個”の存在を認め、アスリートの権利や意向を尊重、理解する流れが生まれてきた。 プロ野球界では今季、完全試合を達成した佐々木朗希投手(千葉ロッテマリーンズ)の活躍が大きな話題となっているが、さかのぼって彼が高校3年夏の県大会決勝で敗退した一件も再び脚光を浴びた。佐々木擁する大船渡高校は決勝まで勝ち進み、甲子園まであと1勝と迫った。しかし、國保陽平監督(当時)は「これまでで最も故障のリスクが高い試合」と、エースである佐々木の登板を回避。結果、チームが敗れたことで國保監督は多くの批判を浴びることになったが、今になって「あの決断は間違いではなかった」と称賛された。プロ入り後も、無理をさせず段階を踏んだ育成や、しっかりと休養を与えたローテーションを組むロッテの姿勢が高く評価されている。佐々木投手の件に限らず、野球の世界ではプロアマ通じて選手の健康管理、負担軽減が一昔前よりはるかに考えられるようになった。
国内の話ではないが、NBA・ウィザーズでプレーする八村塁選手は2021-2022シーズン開幕から“個人的な理由”でチームを長期離脱し、復帰したのはチーム40試合目のことだった。2021年に行われた東京オリンピックで銀メダルを獲得したバスケットボール女子日本代表の馬瓜エブリン選手も、オリンピック後に“休養”を選択したアスリートのひとりだ。明るいキャラクターで、ポジティブなイメージを持たれることも多かった彼女は、オリンピック後の代表活動を休養という形で辞退した。ケガも理由のひとつではあったが、自身のインスタグラムで最大の要因がメンタル面にあったことを公表している。改めて、アスリートにおける“休養”の重要性を彼女自身に聞いた。