変わりつつあるアスリートの休養―「これって誰の人生?」女子バスケ・馬瓜エブリン選手が日本代表を辞退した理由
自分を認めて、褒めてあげることも必要
――実際に休むことを決断して、その効果は感じましたか? 馬瓜エブリン選手: 休んで良かったと思います。もちろん不安もありましたけど、やっぱりしんどかったし、休んだことで心身ともに復活することもできた。「休んだら遅れを取り返せるかな」という焦りが生まれることもあるかもしれないけど、取り返せますよ。万が一、「休んで失敗だった」と後悔したとしても、それも経験ですし、自分の中ではプラスになる。だからもし今、「休みたいけど、不安がある」と悩んでいる人がいれば、「まずは休んでみれば?」と言ってあげたいですね。ダメならダメで、取り返すチャンスはいくらでもある。 ――おそらく今後“休養”の必要性は、バスケットボール界だけでなく、あらゆるスポーツで見直されますよね。 馬瓜エブリン選手: 例えばケガをしてしまったり、メンタルが原因でプレーができなくなるってすごく悲しいことじゃないですか。絶対にもっとできるはずなのに、そういう選手が突然やめてしまうことって結構あるんです。そういう意味では、スポーツ選手はもっと自分の体や心に向き合う時間を持っていいと思います。無理をしなきゃいけない時期ももちろんあるんですけど、そこを見極めて無理をし過ぎない。例えば「今年一年は全力で頑張ってきた。じゃあそこはしっかりと認めて、自分のことを褒めてあげて、今年は休憩する時間があってもいいよね」っていう考え方を持つ人が増えてくれたらうれしいですね。 ――ここ最近は、スポーツ界だけでなく芸能界でも休養を取る方のニュースを多く見かけるようになった気がします。 馬瓜エブリン選手: たしかに、そういうニュースは結構見るようになったなと感じます。スポーツをやっていようがいまいが、やっぱり人間なので「しんどい」と感じるときがあると思いますね。そこでちょっと勇気を出して「休みます」と言える環境はもちろん、それを受け入れてくれる上司や組織、ボスが増えてきたという変化もあるのかな。あとは本当に、自分自身をどれだけ大切にできるか。これからの日本の風土はこうやって作られていくと感じます。 ――休養を取ったことでSNSなどでネガティブな意見などありませんでしたか? 馬瓜エブリン選手: 幸いなことに、私のSNSにはそういう意見はなかったです。むしろ「参考にしたいです」と言ってくれる方がすごく多かったので、ありがたかったですね。ただ、もし自分の周りに否定的な考え方の人がいたとしても、客観的に「これって誰の人生だ?」って一度考えてみたら、その否定的な人のために「休まない」という選択はしないと思うんです。会社や学校でも、どこにだっていろんなことを言う人はいます。休んだらどうなるか分からない、その後が怖いっていう思いはあるかもしれないですけど、SNS含めて関わる人って無限にいるわけですよね。そういう人のことを全部考えるなんて無理だし、やっぱり「自分の人生、どうなりたいんだっけ?」と考えることによって休むという選択肢が生まれたのかなと思います。 (聞き手・文:花田雪) ※この動画記事は、ラブすぽとYahoo! JAPANが共同で制作しました