「ニュースを繰り返し見ると心が疲弊する」パニック障害を経験した大場久美子がテレビのスイッチを入れない理由 #今つらいあなたへ
時にはテレビから離れて自分の心と向き合う時間を
――パニック障害を経験してから、心理カウンセラーの資格を取得されたそうですね。 大場久美子: パニック障害になってからの10年間は、横になって寝ているしかできなくて、人の役に立ちたいけれど、何もできないと思っていたんです。でも、ある時「そうだ、携帯電話はベッドの上でも横になっていても使えるじゃないか」と思い立って、ネット上に私のアドレスを公表したんです。すると、悩んでいる人のメールが届くようになって、相談を受けるようになりました。次第にもっと知識を増やしたいと思うようになり、心理カウンセラーの学校に通うようになったんです。 ――カウンセラーの資格を取得して、どんなことを得られたと感じていますか。 大場久美子: 「人のためにって思って学び始めたけど、結局、自分のためにやってるじゃん」っていうのが結論ですね。カウンセラーになってから、なんで苦しいのかなと自己カウンセリングしたら、「本来の自分とは違う人間になろうとしていたから苦しいんだ」とわかったんです。母のことを思えばワーッてなって、泣き喚くし、大きな声を出す。それが私なんだって。そんな自分を認めた時に、少し楽になりました。 自分はどうして悲しくなるのか、自分はどうしてつらくなるのかと、誰もが自己カウンセリングができるようになるといいなと思います。小学校低学年くらいから心理学を学ぶ機会があれば、みんなが自己カウンセリングできて、自分の気持ちをコントロールできるようになると思うのですが。 ――日常生活の中で、自分の気持ちを上手くコントロールするために実践していることはありますか。 大場久美子: どんなに気持ちや脳が元気でも、同じニュースを繰り返し見ていると、疲弊していくと思うんです。私はいろんなことがしたいので、テレビは2年間くらいスイッチを入れていません。仕事先でテレビがついてれば見るんですけど、自分でつけることはなくなりました。家族の声や窓の外から流れてくる自然の音を聞いて、本を読んで、いろんな人の話を聞きたい。そうすることで自分の気持ちに向き合っている気がしますね。 それでもどうしてもつらくなったら、頭に浮かんだことを書き出してみてください。その時はわからなくても、後で読んだ時に、これがつらかったのかなっていう文字が必ず出てくるので。私も母の死から何年も経って本を書いたんですが、書いているうちに心の整理がついたなと思います。