結婚、出産経て復帰した26歳ガールズケイリン選手 一筋縄ではいかなかったトップレーサーへの道
日々熱き戦いを繰り広げているガールズケイリンの選手たち。今回は8月に産休から復帰し、即優勝を挙げ話題となった大久保花梨選手(26歳・福岡=112期)にインタビューを行った。デビュー時から期待を集めトップレーサーとして活躍したが、23年4月から長期欠場。8月に産休を経て復帰し、いきなり優勝するとここまで4開催で3Vを挙げている。若き“ママさんレーサー”が目指す先は…。
スポーツ少女とガールズケイリンの出会い
佐賀県鳥栖市出身の大久保花梨。両親は警察官で柔道を教えており、大久保自身も幼いころから柔道を習っていた。 中学生になると女子ラグビーで汗を流した。そして3年生のとき、思わぬところでガールズケイリンとの出会いがあった。 「母が整骨院をやっていて、そこに(小林)優香さんのおばあちゃんが来たんです。優香さんが競輪学校に入る前のタイミングだったみたいで、母にガールズケイリンを勧めてくれて。両親が私に『ガールズケイリンやってみない?』と」
自転車競技の名門で頭角現す
高校は鳥栖市の隣、福岡県久留米市にある私立祐誠高校に進学した。競輪選手を多数輩出しており、GIタイトルホルダーの加倉正義(68期)や今年のパリ五輪にも今村駿介、内野艶和(120期)、池田瑞紀の3人が出場している自転車競技の名門高だ。 大久保の身体能力は自転車競技でもすぐに発揮された。高1のインターハイは中距離種目でエントリーし初めて落車をしてしまう。しかし臆せずその後は短距離種目に転向しメキメキ成長。ジュニアの日本代表に選ばれるほどになった。 「周りの環境がよかったです。強い部活で練習環境がよかったし、女子も1人じゃなかったので、やりやすかった。ジュニアのナショナルチームに呼ばれたこともうれしかった。(鈴木)奈央さんとはその頃からの縁で今でも仲良くさせてもらっています」 大学進学を考える同級生もいるなか、すぐにプロを目指すのか大久保の心は揺れていた。最終的に決め手となったのは小林優香の存在だった。 「自分が自転車を始めるきっかけになった優香さんがプロの競輪選手として活躍していて、格好良かった。高校生のころから藤田剣次さんには練習のアドバイスをもらっていたので、(同門の児玉)碧衣さんの存在も大きかったです」