結婚、出産経て復帰した26歳ガールズケイリン選手 一筋縄ではいかなかったトップレーサーへの道
先輩との力の差を感じたデビュー戦。次の地元久留米でも1着を取ることができず、3場所目の8月高松でようやく初白星。7場所目の9月福井で初優勝を挙げた。レースのリズムに慣れると、好結果がついてきた。 「高松の初1着、福井の初優勝は両方とも『ホッとした』って感じでした。どうしても久留米で藤田剣次さんの弟子ってことで、優香さんや碧衣さんと比較される。取材されるときも姉弟子たちのことを言われることが多かった。久留米で選手になった宿命ですけど、デビューした当時はプレッシャーできつかった。久留米のガールズケイリン選手は『グランプリに出て一人前』って雰囲気がありますから」 デビュー1年目は4回の優勝。プレッシャーを感じながらも「久留米期待の新人レーサー」として上々の滑り出しを決めた。
携帯電話預け忘れであっせん停止処分に
2年目は正月の京王閣でいきなり3連勝の完全V。1月後半のガールズケイリンコレクショントライアルでも決勝2着に入り、5月に平塚で開催されるガールズケイリンコレクションの出場権を自分の力でつかみとった。飛躍の2年目へ好スタートを切ったが、大きな失態を犯してしまった。 3月の久留米に参加した際に携帯電話を選手管理に預け忘れ、管理秩序違反で契約解除。即日帰郷となってしまう。通信会社と契約していない端末であったものの、過失を問われ実質3か月のあっせん停止処分を受けた。 「うっかりしていました…。いろんな人に迷惑を掛けてしまった。落ち込みました」 過ちの代償は大きく、自分の手でつかんだビッグレース挑戦の権利も失った。3か月の長い欠場期間で気持ちを整理し、反省を胸に練習に打ち込んだ。
復帰後は1着量産 大舞台でも結果残す
6月の戦列復帰以降は走れることへの感謝を噛みしめてレースに臨んだ。 信頼を取り戻すべく、力を出し切る競走で1着を量産。コンスタントに決勝に進出し、7月奈良、8月川崎で優勝とファンの車券に貢献した。11月には小倉で行われたグランプリトライアルにも出走し、バンクできっちり結果を出していった。 3年目は普通開催で優勝を重ねるもビッグレースではなかなか結果が出ず、壁にぶつかった。大久保はさらなる上積みを求めて練習環境の変化を求めた。 「梅ちゃん(遥山夕貴・108期)が福井から福岡に移籍して飲む機会が多かった。飲みの席で田中誠さんと話す機会があって『一緒に練習するか』って声を掛けてもらいました。街道やバンクでいままでと違う練習をすることで刺激が入りました。そのおかげで成績が良くなったと思います」 4年目の2020年は1月にガールズケイリンコレクショントライアルで3着に入り、本番のコレクション出場権を獲得(5月静岡で実施予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止に。9月伊東で改めて実施された)。8月にはファン投票で選ばれるアルテミス賞に初選出(3着)。9月伊東のコレクションでも3着と大舞台でも結果を残した。 以降もトップレーサーのひとりとして、毎年コンスタントに優勝を積み重ねていったが、2023年4月の伊東開催後に大きな変化を迎えることになった。(後編へつづく)