新NISA2年目の意外な「落とし穴」…経済アナリストが語る「活用やめた人」「ほぼ退場を余儀なくされた人」残念事例
新NISAの活用をやめた人
リスク分散を可能とする投資信託も市場が低迷すれば資産価値が減少し、期待通りのリターンが得られないこともある。 新NISAスタートに伴い、2024年から投資を始めた人にとっては価格変動リスクに動揺してしまうかもしれない。市場が不安定になった場合、長期的な投資を視野に入れていたとしても不安になるのは当然だ。ただ、新NISAの趣旨からすれば短期的な市場変動をあまりに気にすると、制度のメリットを十分に享受できない可能性があると言える。 筆者のもとに訪れる相談者には、新NISAの活用をやめる人もいる。40代男性会社員のAさんに理由を聞くと、運用益が面白いように得られていた時はメガバンクのアプリで自らの資産運用状況を眺めるのが好きだった。だが、8月と9月に株価が暴落し、「毎日、ドキドキしながら株価やニュースをチェックするのが精神的に辛くなった」のだという。長期投資を念頭に入れているのであれば、基本的に「一喜一憂」してしまう人は2年目以降の投資継続には向かないかもしれない。 30代でフリーランスの道を選んだBさんの理由は別だ。口座開設時は毎月3万円の積み立て投資にしていたが、予想以上の運用益を得て月5万円超に増額することにした。最初のうちはボーナスも活用しながら投資熱にウキウキする日々だったが、最近は物価高騰とともに月々の投資額が重く感じるようになったという。
「ほぼ退場」を余儀なくされるケースもみられる
月末になると、銀行口座から自動的に新NISA口座に移る5万円超は生活費に必要となり、その都度の解約手続きを行うようになった。もちろん、手数料を考えれば毎月マイナスを垂れ流している。現時点ですべてを解約したわけではないが、手数料はリターンを圧迫する原因となるので要注意と言えるだろう。新NISAは長期投資が主眼にある制度なのだが、Bさんのように「追加投資」から生活に余裕がなくなり、「ほぼ退場」を余儀なくされるケースもみられる。 投資はタイミングやリバランスを誤ると、思わぬ損失を被る可能性がある。資産形成にはリスク分散と長期的な視点で運用を行うことが欠かせない。「老後破綻」を招かないよう新 NISA や iDeCo(個人型確定拠出年金)で資産運用を始めた人は少なくないが、投資額が膨らめば負担も大きくなる。