新NISA2年目の意外な「落とし穴」…経済アナリストが語る「活用やめた人」「ほぼ退場を余儀なくされた人」残念事例
日本を襲った「ブラックマンデー」と「石破ショック」
新NISAを通じた家計から市場への流れは日本株の買い手としても有力なポジションを築き、想定以上のインパクトをもたらせた。筆者も新NISAによる運用益を得られた1人だ。 ただ、2年目を迎える2025年も同じようにいくとは限らないことは付言しておきたい。その理由は、まず新NISA口座の開設数が今後は伸び悩む可能性があることだ。これまでのように急増していくことは考え難く、日本株投資のペースも落ち着いていくとみられる。言うまでもなく、「経済は生き物」だ。株価は上がる時もあれば、下がる時もある。2024年を振り返れば、1~4月まで日経平均株価は上昇傾向にあり、その後の一服を経て7月まで堅調に推移した。為替レートも4月には1ドル=160円台をつけ、34年ぶりに高値を更新した。 だが、8月には株価が大暴落し、1987年の「ブラックマンデー」を超える過去最大の下げ幅を記録。さらに9月にも大きな下落を経験した。8月の暴落は、日本銀行による追加利上げ後の円高急伸と米国景気の後退懸念によるものだが、9月は「石破ショック」が原因とされる。自民党総裁選で、安倍晋三政権時代からの金融緩和継続と経済活性化を唱えた高市早苗元経済安全保障相ではなく、「経済音痴」とみられた石破茂元幹事長(現・首相)が予想外に勝利したため負のサプライズと受け止められたのだ。12月12日には日経平均株価が4万円台を回復したが、その勢いは疑心暗鬼を内包しているように映る。
2025年からの変動リスクをどこまで許容するのか
2025年に気をつけなければならないのは、1月のドナルド・トランプ大統領再登板や3月頃に迎えるだろう来年度予算案をめぐる国会攻防だ。トランプ氏は他国に高い関税を課すと選挙期間中に繰り返し、中国だけではなく日本にも負の影響が生じることが懸念されている。国内においては、先の衆院選で自民党と公明党の与党が過半数割れの惨敗を喫し、日本維新の会や国民民主党など野党からの賛成が得られなければ予算を成立させることができない状況にある。いずれも為替や株価に直結するだろう問題だ。 新NISAが税制上優遇された制度であることは何ら変わらないが、もちろん投資である以上はリスクも伴う。2024年のように株価が上昇基調にあれば良いだろうが、2025年からの変動リスクをどこまで許容するのか。投資資産の価値が下がった時を想定しておく必要があるだろう。