食べることは生きること――EXILE TAKAHIROの生命力の源、故郷・長崎の祖父母や母、妻の味 #食の現在地
今年春に全11公演にわたるツアーを開催し、9月21、22日の武道館単独公演は大成功。年末には恒例となったクリスマスライブを行うなど、EXILE TAKAHIRO(40)は30代最後の1年を、春のツアータイトルの通り“FULL THROTTLE(フルスロットル)”で駆け抜けてきた。年齢を前向きに受け入れ、「今が人生で一番真っ当な日々」と楽しみながら人生を謳歌(おうか)する。そこには大切な家族の存在、そして自らを育んだ故郷・長崎の味と食の記憶が源にあった。(取材・文:田口俊輔/撮影:吉場正和/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
かっこよく楽しみながら“老い”を受け入れたい
12月8日に40歳を迎えたEXILE TAKAHIRO。EXILE加入から18年を迎えてなお、みなぎる意気の源は何かと聞くと、思ってもみない答えが返ってきた。 「近頃疲れやすくなり、その疲れも遅れてやってくるようになりました。そういえば、もう何年も人間ドックに行っていないことに気づき、今、子羊のように震えています」 思わず肩をすくめた。 今まで感じたことのない“感覚”がやってきたのは、今年の武道館公演でのこと。18年前の同日、同場所で行われた最終オーディションの合格をもってEXILEの一員となった彼にとって、特別な瞬間にかける熱量は相当だった。 「今年の武道館を終えた次の日から、しばらく声が出なくなったんです。疲労や緊張にテンションが勝ってしまうタイプなので、これまでライブ中もライブ後も、『疲れた、何もできない』という瞬間は訪れたことがなかったんですけどね。たぶん力を使い切ったのかな。自分でも驚きました」
意気衝天な20代、30代を経て、徐々にできないこと、体に合わないことが増えてきた。武道館公演に向けて、成人になって以降ほぼ休まず飲み続けていた大好きな酒も、2週間ほど断ったという。 「昔は仕事が終われば、朝まで飲んで楽しむのが一番のストレス発散になっていました。今ではそれをやれば、体にガタがきちゃいます」 肉体の如実な変化を実感するたび、つらく感じないかと問うと、「いいえ」と、首を横に振った。 「昔からうまく年を重ねることを受け入れる方に憧れているんです。理想の男性像は、岩城滉一さん。岩城さんは年々あの渋さと色気を出していらっしゃる。自分もアンチエイジングではなく、かっこよく楽しみながら良い意味で“老い”を受け入れていきたいんです」