E-1選手権VメンバーからW杯代表入りできる選手はいるのか…MVP獲得のドリブラー相馬が示した存在感
藤田からのパスを西村がワンタッチで前方へはたき、以心伝心でニアサイドに抜け出していたDF小池龍太(26、横浜F・マリノス)が折り返したクロスを左足で押し込んだ町野は、大会前に掲げていた公約をダブルで達成した。 「この大会はみんなが集まったときから優勝が目標だったし、そのなかで個人の目標を3ゴールとしてあげた。両方を達成できたことを嬉しく思う」 大阪・履正社高から2018年にマリノスへ加入するも公式戦で一度もピッチに立てず、出場機会を求めて移ったギラヴァンツ北九州で2019シーズンはJ3を、2020シーズンはJ2を戦った。その間には期限付き移籍を完全移籍に切り替えている。 「J3でプレーしているときは、とにかく見返してやろうと思っていた」 捲土重来を期す思いと身長185cm体重77kgの恵まれたボディは、昨シーズンに加入したJ1の湘南でシンクロを開始。不断の努力も加わった成果として、今シーズンのJ1得点ランキングで4位タイとなる8ゴールと代表初招集に結びついた。 コンディション不良の大迫勇也(32、ヴィッセル神戸)が3月から選外となっている代表のフォワード陣で、6月シリーズは古橋亨梧(27、セルティック)や前田大然(24、同)、浅野拓磨(27、ボーフム)とスピードを武器とするタイプが起用された。万能型の上田綺世(23、サークル・ブルージュ)は思うような結果を残せなかった。 大迫の十八番であるポストプレーに関して「かなり自信を持ってやれている」と自負する町野は、6月シリーズにはいなかったタイプとなる。加えて、今大会の得点王を通して「僕が決めて勝つ、というイメージがある」とさらに自信を深めた。 歴代のワールドカップ代表発表を振り返れば、選出が確実視されていた久保竜彦ではなく、最後の最後に巻誠一郎が呼ばれた2006年のドイツ大会が思い出される。サプライズが起こる確率が高いポジションがセンターフォワードといえるが、町野自身は「もう優勝は過去のこと、というか……」と感慨に浸ることなく前を見すえる。 「次はJリーグで自分の持ち味を出してチームを勝利に導くことが、ワールドカップであるとか日本代表の招集につながっていくと思う。やらなければいけないことが今大会でたくさん見つかったので、明日の練習から全力でトライしていきたい」 カタールワールドカップに臨む26人の代表メンバーは、ヨーロッパ組を中心にほとんどが決まっているといっていい。森保監督も8月中旬か下旬には渡欧し、開幕したばかりの新たなシーズンに臨んでいるヨーロッパ組を視察する予定を立てている。 そして、そのまま帰国せず、アメリカ、エクアドル両代表との国際親善試合が組まれている、ワールドカップ前で最後の活動となる9月下旬のヨーロッパ遠征に入る。