少子高齢化だから年金制度は崩壊する?誤解されがちな<年金の仕組み>を専門家が解説。「不調な時だけニュースになるが、23年度の収益はなんと…」
◆少子高齢化だけれど、維持していけるの? 「現状では大丈夫なことはわかった。でも、この先少子高齢化で、高齢者はドンドン増えていく。それでも年金制度は続けていけるの?」 少子高齢化はたしかに心配でしょう。 2023年、人口に占める65歳以上の高齢者の割合は29.1%です。2040年には、34.8%になる見込みです。 しかし、このままずっと高齢者が増え続けることはありません。団塊ジュニアが高齢者になる2040年までは上昇していきますが、それ以降は横ばいが続くと予測されています。 とはいえ、現役世代が減っていく中で、増加する高齢者を支え切れるのでしょうか。 1980年には騎馬戦型で支えていたスタイルが、2010年には神輿(みこし)型になり、2040年には肩車、つまり1人の高齢者を1人の現役世代が支えるようになる。年金制度は、よくこんな説明がされます。 ここで使われる数字は、分母が20歳から64歳までの人口、分子が65歳以上の人口です。 ですが、単純に人口で割った数字なので、実態とは少し違ってきます。分母は本来、就業者の数になるべきです。 なぜなら第3号被保険者は保険料を払っておらず、また、いまや65歳以降も多くの人が働いているからです。 分母を就業者、分子を非就業者に変えると、ほぼ肩車の図式が何年もずっと続いてきていることがわかります。
◆女性や高齢者の労働参加が増加 高齢者は増えているものの、昔に比べて女性の労働参加が急激に増えました。 専業主婦の割合は共働き家庭の2倍でしたが、いまでは逆転して共働き世帯が専業主婦の2倍以上になっています。 また、60歳が定年でも、ほとんどの人が65歳まで働いていますし、70歳まで働いている人は全体の17%以上います。高齢者の労働参加も増えているのです。 この先も、少子高齢化によって、すぐに年金制度が崩壊するとは考えにくいと言えるでしょう。 年金制度は、5年に1回財政検証が行われ、その都度見直されています。
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