「笑うアシカ」生みの親、シャチの大ジャンプに込める思い スマシー館長・中野良昭さん 一聞百見
神戸市立須磨海浜水族園跡地に今月オープンした「神戸須磨シーワールド」(スマシー)。西日本で唯一シャチを展示し、パフォーマンスが観賞できる施設とあって、連日大勢の来場客でにぎわっている。こうした注目を集める水族館の館長を務めるのは、鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)でアシカなどの飼育やトレーナーを長く担ってきた中野良昭さん(55)。水生生物の生態を楽しみながら学べる「エデュテインメント」をテーマに「海への玄関口のような水族館を目指したい」と意気込んでいる。 【写真】元祖「笑うアシカ」のマンディー ■「海の玄関口みたいな場所に」 昨年5月末に閉館した神戸市立須磨海浜水族園(スマスイ)の跡地に、ホテルなどを併設したリゾート施設として再整備されオープンしたスマシーは、スマスイから引き継いだ生き物も含め、560種、1万9千点が展示されている。 スマシーの目玉の一つのシャチ展示は、これまで鴨川シーワールドと名古屋港水族館(名古屋市)の2カ所のみで国内ではわずかだ。ゆえに連日多くの人が訪れており、にぎわう館内の様子に中野さんは「無事に開業を迎えられてよかった」と安堵(あんど)の表情を見せる。 シャチの人気の理由について、中野さんは「パフォーマンスの力強さはシャチでなくては出せない」と胸を張る。さらに「白と黒のコントラストに惹(ひ)かれるのかもしれません。パンダとシャチ、どっちも人気者でしょ」と笑う。 鴨川時代にはアシカやアザラシ、ペンギンなどの飼育やトレーナーとして、パフォーマンスを披露する海獣展示課で在職期間の大半を過ごした中野さん。鴨川の代名詞でもある「笑うアシカ」の芸を最初に成功させたトレーナーとしても知られる。 一昨年2月、鴨川からスマスイに園長として着任。足を踏み入れ、まず感じたのはスマスイのアットホームさだったという。「幼い子供たちが館内を笑いながら駆け回っている様子と自分が子供の頃よく訪れた水族館の原風景が重なりました」とほほ笑む。 「『水族館へ行こう』とかしこまって訪れる場所ではなく、近所の子供たちが気軽に歩いて来る。地域に愛された水族館だと感じましたね」