【星野リゾート代表に聞く】観光地の混みすぎ&高すぎ問題...解決のカギは『休みの分散』と『自然観光』!本当は教えたくない...「オススメ旅先」とは?
「安全に雪山を楽しむにはガイドと装備が必要なんです。そういうものが現地で充実していることが自然観光を強くしていくためには大事。」 一方、ゲートウェイ(日本に入ってくる場所)として東京や大阪も維持可能で、周辺の自然観光を強くしていくことで、地方と都市部のお互いにプラスになる可能性があるといいます。
国内旅行の連休集中問題 解決策は「休みの分散」
観光客を分散させるためには、場所だけでなく「休み」の分散も必要だといいます。休みを分散させる方法として、星野代表は「日本を2500万人ずつ5つの地域に分けて、ゴールデンウィークやシルバーウィークの休みを1週間ずつずらして取得する」ことを挙げています。実際にフランスでも行われているそうです。 星野代表は「これは2004年から提言していて、全然政治的には進まないが、世界でこれを意図的にやっている事例はたくさんある」としたうえでこう指摘します。 「ゴールデンウィークは日本全国オーバーツーリズムです。次の週は日本全国アンダーツーリズム。インバウンドは一定の『地域』に集中し、日本人は大きな国内消費が一定の『週』に集中してしまっていることが問題です。ですから休み方改革はすごく大事。」 また、愛知県には『あいちウィーク』と呼ばれる小学校が休みやすい週を作り、県も自治体も取り組んでいるそうです。これにより、その週に周辺の県や地域に行くと空いてる場所を安く楽しめるメリットがあるといいます。こうした取り組みが各県で違った週に設定されると自然に休みが分散され、日本の休み方改革につながるのではないかと星野代表は話します。
ホテル代「高すぎ!」どうすれば?
次に、値上がりする観光について。まずホテル料金が高騰している理由は、インバウンドによるホテル需要の高まりや物価高もありますが、大きい要因は「人手不足」で人件費が上昇したことだそうです。 星野代表は、「観光業界で働く人の年収は他産業に比べて低い。観光を日本の一流産業にするには観光に従事する人の年収を上げていかないといけない」と指摘します。 実際にデータで見てみると、全産業における非正規雇用は37%ですが、宿泊業は56%(総務省統計局「労働力調査」2023年)で、賃金は全産業の平均より低くなっています。離職率は全産業で15%に対して、宿泊業・飲食サービス業は27%と高い傾向であることがわかります(厚生労働省「雇用動向調査」2023年)。 こうした人材不足の改善策についても、『休みの分散』が正社員を増やすことにつながるといいます。