退職者による「企業秘密」漏えいを防ぐ4つの方策、重要なのは、日ごろからの「秘密管理」の徹底
■「就業規則」や「社内ルール」を整備する (2)組織的管理 「企業秘密」を守りたいのであれば、企業は、「企業秘密」の取扱いについて、就業規則や情報取扱い規程などの社内ルールを定める、社内組織・体制を整備するなどして、「組織的に企業秘密を守る」必要があります。そうすることで、退職を意図している者が、退職前に「企業秘密」を不正に入手することを予防するのです。 特に重要なのが、「企業秘密」へのアクセス権限についての日頃の運用です。たとえば、
①「企業秘密」にアクセスすることができる者をその「企業秘密」を必要とする業務の担当者とその上司に限定する ②「企業秘密」にアクセスすることができるとしても、「企業秘密」の内容を見ることができる者を限定する ③「企業秘密」の内容を見ることができても、デジタルデータならダウンロードやメールにファイルを添付することができないようにする、紙媒体ならコピーや持帰りを禁止する など、段階を分けた情報管理が可能だと思います。
また、退職日までに日数があるときでも、 ④退職の意向を示した者には「企業秘密」にはアクセスできないようにする など、情報管理の方法を変更することも、退職する直前に「企業秘密」を不正に取得することを防止するのに有益です。 ■「退職者を」企業秘密から隔離する (3)物理的管理 最善の方法は、「企業秘密」そのものを物理的に隔離して、退職の意向を示した者がアクセスできない、別の場所に保管することです。たとえば、共有サーバや共有フォルダに保存されている「企業秘密」(デジタルデータ)を共有されていないサーバやフォルダに移動させることが考えられます。
しかし、退職の意向を示した者による不正取得を防ぐためだけに「企業秘密」を隔離すると、通常業務に支障が出てしまいます。そこで現実的には、「企業秘密」を隔離するのではなく、退職の意向を示した者を「企業秘密」から隔離することが最善策です。 「企業秘密」から隔離する最も簡単な方法は、 ①退職の意向を示した者に有給休暇をとらせ、出社させない ことです。出社しなければ「企業秘密」にアクセスすることはできません。