退職者による「企業秘密」漏えいを防ぐ4つの方策、重要なのは、日ごろからの「秘密管理」の徹底
※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください ①退職者と秘密保持契約を締結する方法 多くの企業が、退職の際に、退職者と「秘密保持契約」を結んでいると思います。しかし、退職の手続きに必要な書類など複数の書類にサインさせるのと同時に行い、秘密保持契約の締結が、流れ作業のようになっている企業は少なくないようです。 特に退職者には、会社に提出してもらう書類が複数あるので、会社(人事部門)が、退職後の守秘義務について説明することもなく、仮に説明しても一言忠告する程度にとどまっていることが多いのではないでしょうか。
これでは、退職者に秘密保持の重要性を認識させることはできず、「人的管理」をしたことになりません。 理想としては、他の書類にサインさせるのとは別の機会を設け、退職者に情報管理に関する説明を、時間をかけて行い、退職後の「企業秘密」の取扱いの重要性を認識させてから、その場で、退職後の秘密保持契約を締結させるのが望ましいやり方です。 退職後の秘密保持契約の締結を拒絶された場合は、「会社から退職後の企業秘密の取扱いについて説明を受けました」などと書いた書類にサインさせるのでもかまいません。
②秘密保持契約の内容 退職後の秘密保持契約には、「業務上知った情報」「業務上知り得た情報」のような漠然とした文言だけでなく、「組織図、権限表、従業員の氏名、連絡先などの人事情報」「取引先の社名、担当者名、連絡先、取引内容、取引金額などの取引先情報」など、会社が持ち出されたくない「企業秘密」の内容をできる限り具体的に例示しておくことも必要です。 そうすることで、退職者が「企業秘密」を漏らした後に、「これが企業秘密だとは思わなかった」などと言い逃れすることを防ぐことができます。
また、退職時・退職後に禁止される行為については、「不正取得」「不正開示」「使用」といった抽象的な表現にとどめず、 「アクセス権限のない情報にアクセスして閲覧、コピーしてはならない」 「会社の許可なく、独立・転職先で利用してはならない。転職先に開示してはならない」 「メール、LINEでの共有をしてはならない。SNSに投稿してはならない」 など、具体的に例示しておくことも重要です。 これも、退職者が「企業秘密」を漏らした後に「これまで禁止されるとは思わなかった」などと言い逃れすることを防ぐためです。