とよた真帆「闘病する夫・青山真治の前で明るく振る舞うも、愛犬に見つからない場所で泣いたあの日。芸能活動40周年。やりたいことは今から始めなければ間に合わない」
◆彼の遺したもの 57歳で亡くなりましたけれど、後になって「65歳までの人生プラン」が見つかって。どの作品をいつ撮るか、といった人生プランです。 豪快で命を縮めるようなお酒の飲み方もしていたけれど、65歳までは生きようとしていたんだなあ、と。 お墓は北九州市の生まれ故郷で、尊敬していたお父さん、お母さんと一緒の場所に今は眠っています。教員だったお父さんに、褒められたい一心で映画を撮っていた、というのもあったんですよ。 幸い、今も青山を慕って下さる方々はたくさんいらっしゃいます。 仕事部屋に残されていた膨大な書籍を、神保町(東京)のシェア型書店「猫の本棚」さんに昨年1月、青山真治文庫として寄贈しました。 青山作品、そして映画に関心のある方に手に取っていただきたい、引き継いでもらいたい、と考えての事でしたが、もうかなり売れてしまったようで有難いことです。 そして彼の遺した「東京酒場」も、誰かが引き継いで映画化してくれたら、と切に願っています。
◆イタリアンレストラン「ロジエ」は一周年 今日取材に来て頂いている、東京・恵比寿で経営するイタリアンレストラン「ロジエ」は8月、おかげさまで1周年を迎えました。 恵比寿駅の近くで、ちょっと路地に入った隠れ家のような一軒家。 「ロジエ」という名前は、青山作品の『路地へ』(2001)からとりました。中上健次さんの小説に登場する路地を訪ねるドキュメンタリーです。 青山にも一緒にいてほしいので、カウンターの隅っこに写真を置いています。 このお店を開くことになったのは、青山を亡くしたこととも関係しています。自宅での「一人ご飯」が増えると寂しくて、何を作って食べてもつまらなくて。 女性が一人で気軽にふらっと入り、美味しいワインを飲みながらカウンターでさくっとご飯を食べて帰れるお店があるといいなあ。でもないなあ、じゃあ作っちゃおうと。たまたま物件オーナーと知り合い、とんとん拍子に話が進みました。 お店はどんどんパワーアップさせています。最近もシェフを増強。 人気テレビ番組『料理の鉄人』に出演していたシェフのお弟子さん筋の方に入ってもらいました。 先日、ロジエで1周年記念パーティを開いた際にも頑張ってもらい、イタリアンとフレンチがいい具合に融合した料理にデザートで、来て下さった皆様からは大変好評でした。ケータリングの注文も多くて有難いです。 私もよくお店には顔を出しています。アートは私の自宅にあったものを飾っています。人手が足りない時は注文をお受けしたり、お料理をサーブしたりもしていますよ。