賢い子はどこで勉強する?一級建築士があえて「子ども部屋」を作らないワケ
家づくりで失敗したくない方は必見! 一級建築士・内山里江さんの書籍『家は南向きじゃなくていい』は、限られたスペースを効率的に使って自由な間取りがつくれるヒントが盛りだくさん。今回は「子ども部屋は絶対に必要?」「 子どもが巣立ったらその部屋はどうなるの?」の疑問にお答えします。 【間取りを見る】子どもの成績を上げたいなら「間取り」でやってはいけないこと
【子ども部屋の話】部屋に名前をつけるデメリット
「未来」のために「今」を犠牲にするリスク 「○○部屋」と、部屋に名前をつけると固定観念ができてしまい、自由な家づくりがしにくいように思います。その代表格が「子ども部屋」です。まだお子さんがいらっしゃらない状態でも「将来のことを考えて子ども部屋は2つか3つほしい」と望む人はたくさんいらっしゃいます。 しかし、個室を3つつくるのにはかなりの面積を使います。その分、他のスペースが犠牲になったり、広い土地を探さなくてはいけなくなったりして土地代も建築費も多くかかってしまいます。実際にお子さんを2~3人持つかはわからないうえ、個室が必要な期間は中学・高校のだいたい6年程度です。大学まで入れてもマックス10年です。その後、お子さんが巣立ったらその部屋はどうなってしまうのでしょうか。このように考えると、不確定な未来のために「今」を犠牲にするようにも思え、なんだかもったいない気がしてしまいます。
ニュートラルな部屋の使い方
私が提案しているのは、「将来、子ども部屋としても使える多目的な空間」をつくることです。現時点では壁やドアでセパレートせず、広めのスペースにしておきます。お子さんが生まれたときには人数に応じて家具やパーテーションなどを使って仕切れるような計画を立てつつ、今は広めのフリースペースとして活用するというわけです。 こうしておけば、将来、お子さんが生まれ、さらに巣立った後も、再びフリースペースとして別の目的で使うことができます。趣味を楽しむ場所にしてもよいですし、お子さんが帰省された際の居場所にもなりそうです。来客や、ゆくゆくはお孫さんがいらっしゃったときに使ってもよいですね。家族構成やライフスタイルの変化に応じて自在に活用できます。 広いスペースはいくらでも使いようがありますが、それを2つや3つの個室に分けてしまうと用途はずいぶん制限されてしまいます。このように、名前をつけず、可変性を大事にしたニュートラルな空間の使い方をしたほうが自由な間取りがつくれますし、面積も効率的に使えます。