樋口恵子 この先「おとな用紙おむつの生産量が赤ちゃん用を超える」と言われる時代に…高齢者も<生涯現役、一消費者>として気づいたことを発言していくべし
厚生労働省が公表している「令和4年簡易生命表」によると日本の平均寿命は、男性が約81歳、女性は約87歳だそう。それもあって91歳で評論家として活躍している樋口恵子さんは、「これからはおばあさんだらけの時代になる!」と宣言中。その樋口さん「タンスを片づけていたら、奥からもう使わない“アレ”が出てきた」そうで――。 【書影】時代のトップランナーとして走るヒグチさんの「ヨタヘロ」と「ときめき」の逸話の数々がここに!『91歳、ヨタヘロ怪走中!』 * * * * * * * ◆タンスの奥から出てきたアレは! ふと、ずっと昔のある日のことを思い出しました。 ものの片づけごとは、家事の中でも最苦手。長年のつき合いの中で家事全般すべてに達人の域に達し、何かと頭も手も貸してくれる同年輩の友人に、片づけの手と頭を貸してもらっていました。 だいぶ片づいて、残るは私の主たる嫁入り道具だった総桐の和ダンスと、普段に重宝しているこれも桐の洋ダンス。 久しぶりのタンスの中味に奥深く首をつっこみながら、私は一連の小さな包みを取り出しました。 「何イ? これ! きゃっ、新品ね。捨てるのはもったいないし、若い人にあげるように、どこかタンスの片隅にでも……」 思えば長期間、私の女盛りを共にした生理用品です。この出合いの3年ほど前、私は子宮筋腫という病気で子宮全摘手術を受け、すでに生理はありませんでした。ですからこの生理用品の発見は、私の整理のまずさの象徴でもありました。
◆「整理の達人」の言う意味 「もったいないけれど、やはり捨てましょうか。私は整理が悪くて、しまい込んだらすぐ出てこないし、そもそも私自身に用はないし」 整理の達人は言いました。 「私たちよりもっと年上の方のために、わかりやすいところに保存し、遠慮のない方にさしあげたらどうでしょうか?」 瞬時に理解したわけではありませんが、少しずつ私は「整理の達人」の言う意味を理解しました。 「達人」の助言を受け入れて、その場でどこかへ収納したつもりですが、もともと整理能力に劣る私は、どこかへまぎれ込ませてしまったようです。でもこのときのエピソードはよく覚えています。
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