【闘病】「ジストニア」とは? 自分の意思に関係なく首が勝手に動きだし…
仕事でも趣味でも、「生きがい」とも言えることができなくなってしまったら、私たちは途方に暮れてしまうのではないでしょうか? 今回、自らの体験を話してくださった田中さん(仮称)は、ジストニアのため仕事ができなくなってしまったそうです。 【本人撮影動画】首が勝手に動く様子 & 治療中の田中さんの写真 辛い手術を乗り越えて、現在は仕事復帰へ向けてリハビリに奮闘されています。田中さんがどのようにしてジストニアを発症し、この病気と向き合っているのかを語ってもらいました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年5月取材。
ボトックスの注射が効かず、頭蓋骨に穴を開ける手術を行った
編集部: 病院を受診した経緯を教えてください。 田中さん: 仕事が休みの日にテレビを観ていると、首が少し右に引っ張られる違和感を感じました。日に日に首が右側を向くようになってきたのですが、「仕事の疲れで、そのうち治るだろう」と思い、病院に行きませんでした。 ですが、徐々に首が前後に動くようになり日常生活に支障を来たすようになってしまったので病院を受診しました。 編集部: 病院ではどのように治療を進めていくと説明がありましたか? 田中さん: 結果として、この病院の医師は、あまりジストニアについては詳しくないようでした。ですので、特に治療についての話はありませんでした。 症状が進み、動くのもやっとという状態になったため、インターネットで自分の症状を調べ、ジストニアに該当しそうだと思いましたので、専門の医師がいる病院を探して受診しました。 編集部: ジストニアとはどのような疾患なのですか? 田中さん: 筋肉や骨に異常がないのに、全身または体の一部が固まったり、震えたりするなどして、思い通りに動かなくなる病気です。ジストニアに対する根治治療はまだ確立されていません。 編集部: ご自身で調べて受診した病院でジストニアと診断されたのでしょうか? 田中さん: そうです。最初は医師と相談して、まずはボトックスの注射(ボツリヌス菌)を打ちましたが、いっこうに効果がありませんでした。 もう自分の身体が言うことを聞かなくなったため、あらためて医師に相談をしたところ、腰も曲がって来ているし、手術しかないだろうと言われました。専門の病院を紹介され、そこで手術を行うことになりました。 編集部: 具体的にどのような手術を行ったのでしょうか? 田中さん: 頭蓋骨に穴を開けて、細い電極を差し込み、脳に刺激をして不随意運動を止める手術を3年間で2回行いますと言われました。 初めは右側の手術を行い、1年半を置いて、今度は左側を行いました。手術は頭にのみ局部麻酔を行い、意識がある状態で先生と会話をして、不随意運動の場所を探りながら行います。この手術は2度とやりたくありません。 編集部: とても辛い手術だったのですね。 田中さん: はい。意識がある中で頭蓋骨にドリルで穴を開けるので、何をしているかがしっかりわかり、とても怖かったです。私が行ったのは、定位脳手術というもので、これは脳の中の特定の構造物を目標に電極を留置して治療を行う方法のことです。 細い電極の先端を、1mm単位で正解に特定の場所に留置する必要があることからそう呼ばれるそうです。パーキンソン病やジストニアなどの不随意運動疾患に対する治療として用いられるようです。