子ども専用の墓地? ノルウェーで2500年以上前の一風変わった埋葬地を発掘
ノルウェー南東部のフレドリクスタで、一風変わった形の遺跡が見つかった。 この遺跡は石を直径1~2mの円形に並べた形をしており、同じエリアに同様のものが40以上も密集している。オスロの文化歴史博物館の考古学者たちの調査の結果、この遺跡は2500年以上前の墓地であることがわかった。しかも、火葬され埋葬されていた人骨は、ふたつの墓を除いてすべて子どものものだったという。 分析の結果、この墓地は北欧の青銅器時代からローマ前鉄器時代(紀元前800年前から紀元前200年ごろまで)に使われていたことがわかった。使われていた期間が長いことから、自然災害や伝染病などによる死者をまとめて埋葬していたわけではないことが伺える。 今回見つかった遺骨の多くは、3歳から6歳の子どものものだったという。また、墓の中からは陶器の破片やブローチといった遺物も収められていた。加えて、遺跡に使われている石はそれぞれ異なる場所から調達されていたという。 ノルウェーのスタヴァンゲル大学の考古学准教授、ホコン・レイエルセンは「Archaeology News」の取材に対し、こうコメントしている。 「この発見は、古代ノルウェーにおける乳児の葬儀の慣習に関する膨大なデータを提供するという点で注目すべきものです。この時代は乳幼児の死亡率が高かったので、子どもたちだけのための埋葬地がつくられたのでしょう」 レイエルセンはまた、この遺跡において男性、女性、子どもの墓に差異が見られなかったことから、当時の墓が平等主義のもとでつくられていたことを指摘している。今後は遺跡で見つかった陶器の破片を分析し、当時の慣習や信仰の研究に役立てていくという。 なお、遺跡が見つかった地域では、これまでにもこの時代の航海や太陽崇拝を示唆する岩の彫刻が多く出土している。
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