ついに職務停止…尹錫悦大統領「5回の談話」の恐るべきKY度
尹大統領を巡る状況が二転三転
「事実は韓ドラより奇なり」――今月の韓国政治は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を巡る状況が、二転三転。前世紀末に国民が「民主」を闘い取った隣国で、実にダイナミックな権力闘争が展開されている。 恐ろしすぎる…韓国・尹錫悦大統領の「弾劾可決」で今後始まる「内乱同調犯の清算」 まず、12月3日からの状況を簡単に整理してみよう。 12月3日22:30頃尹錫悦大統領が、国会での野党の行動によって政治が壟断(ろうだん)されているとして、「非常戒厳」を宣言(1回目の談話) 4日1:00頃国会が「戒厳令の解除」を決議 4日4:30頃尹錫悦大統領が、「戒厳令の解除」を宣言(2回目の談話) 4日「共に民主党」など野党6党が、国会に尹錫悦大統領を罷免(ひめん)するための弾劾(だんがい)訴追案を提出 6日与党「国民の力」韓東勲(ハン・ドンフン)代表が尹錫悦大統領の早急な職務執行停止が必要と発言 7日午前尹錫悦大統領が、「与党などの決定に従う」と国民向けに謝罪する、3回目の談話を発表 7日「国民の力」が弾劾訴追案への反対を決める 7日21:30頃国会で「国民の力」の大部分が決議を欠席し、弾劾訴追案が廃案となる 12日午前尹錫悦大統領が29分の4回目の談話を発表し、一転して「戒厳の正当性」を主張 12日午後「共に民主党」など野党6党が再び、国会に尹錫悦大統領の弾劾訴追案を提出 13日「国民の力」韓東勲代表が弾劾訴追案への賛成を呼びかける。この日選出された「国民の力」権性東(クォン・ソンドン)院内代表(党ナンバー2の幹事長)は、断固反対を宣言 14日午後「国民の力」が弾劾訴追案への反対を決議 14日17:00弾劾訴追案が可決 14日18:30頃尹錫悦大統領が「絶対に放棄しない」との5回目の談話を発表 14日19:30頃尹錫悦大統領の執務停止、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が代行
弾劾訴追案が2回目の採決で可決
激しい抵抗を続けた尹錫悦大統領及び与党「国民の力」だったが、12月14日土曜日夕刻に、「大韓民国の歴史が動いた」(YTNアナウンサーの言葉)。午後5時、ソウル・汝矣島(ヨイド)の国会本会議場の壇上に立った禹元植(ウ・ウォンシク)議長が、宣言した。 「全投票数300、『可』(賛成)204票(ウワーッと歓声が上がる)、『不』(反対)85票、棄権3票、無効8票。弾劾訴追案が可決したことを宣言します」 韓国の国会議員は計300人。内訳は、与党「国民の力」が108人、最大野党「共に民主党」が170人、その他野党が22人だ。弾劾訴追案の可決には、全議席の3分の2にあたる200人の賛成が必要で、そのためには最低8人の与党議員が「造反」する必要があった。 結果は、少なくとも12人の与党議員が造反した。現在の「国民の力」は、尹錫悦大統領及び権性東院内代表の派閥と、韓東勲代表の派閥に分断されつつあるので、後者の一部が造反したということだ。 今後は「国民の力」が、二つの党に分裂する可能性がある。特に、韓代表は国会議員ではないので、指導力は未知数だったが、早速16日に代表を辞任すると表明した。 韓代表は、もともと検事として長年、尹錫悦氏に付き従ってきた経緯があるにもかかわらず、今回は完全に尹大統領と「決別」したので、尹派の仲間からすれば「裏切者」である。「国民の力」の内部に詳しい人物は、韓東勲代表について、こうこき下ろした。 「韓東勲は検事として、2018年に李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)元大統領を投獄し、今度はボスだった尹錫悦大統領を裏切って、投獄に向かわせようとしている。3人もの大統領を葬り去るとは大したタマだが、最後は自分も無傷では済まないだろう。 それくらい、いま『国民の力』の内部で恨みを買っている。ましてやこの先、反対勢力の『共に民主党』が政権を取ったら、真っ先に首根っこを掴まれるだろう」