「もう左手がダメになってもいい覚悟があったのではないか」パリ五輪卓球女子シングルス銅メダルの早田ひなが「今は金メダルよりうれしい」と号泣した理由とは?
「早田選手にとって、銅メダルはどちらかといえば不本意だったと思います。それでも彼女が同じ2000年生まれの伊藤美誠選手、平野美宇選手に追い越されて、ずっと苦しい思いをしている姿を僕も見てきました。団体戦のリザーブだった東京五輪では、ボール拾いなどでチームを手伝うなど悔しい思いをしているし、応援している周囲も同じ思いを抱いていたはずです。だからこそ今回の銅メダル獲得で、チーム早田として最低限の成績を残せた。周囲への感謝も込められた涙だったと思っています。ただ、2大会連続でシングルスのメダルを繋げた価値は非常に大きい。繋げていくことで、卓球ニッポンの歴史で後輩たちにも受け継がれていくものがあるので」 早田も「もちろん金メダルを目指していました」と、フラッシュインタビューで本音を打ち明けている。利き腕に異変が生じる想定外のアクシデントや、目標にすえてきた世界ランキング1位の絶対女王、孫穎莎に喫したストレート負けを乗り越えて手にした銅メダルの価値を、早田は涙で声を途切れさせながらこう語っている。 「まさかこんなタイミングで神様に意地悪されるとは思っていなくて。でも、周囲のみなさんが最後まで支えてくださって、私がプレーできるところまでもってきてくれた。なので、どんな結果になってでも最後までプレーする、銅メダルをみなさんに見せたい、という気持ちで戦っていましたし、いまは金を取るよりも銅を取れてうれしい」 5日からは女子団体が始まる。前回はリザーブとして、銀メダルを獲得した日本が3大会連続で表彰台に立つ姿を脳裏に焼きつけ、さらなる成長を遂げる糧に変えた。 「中1日しかないですけど、まずは腕をしっかり治してコンディションを整えたい」 気持ちを切り替えた早田に対して、松下氏もこんなエールを送る。 「無理をしていると思うし、その影響が出なければいいですけど、でも勝ったことで精神的にもかなり違ってくるし、周囲も含めて、いい雰囲気で臨めるはずです」 早田を軸に平野、16歳の張本美和(木下アカデミー)がチームを組み、木下美悠(20、木下グループ)がリザーブとして後方支援する女子団体には16チームが参加。4大会連続のメダルを目指す日本は日本時間5日17時に、ポーランドとの1回戦に臨む。
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