なんと「600種類以上」の「肉まん・あんまん」を生み出してきた井村屋が、「最もチャレンジだった味」と語った「ビジネスまん」の正体
「肉まん・あんまん」はコンビニやスーパーでも販売され、価格もお手頃。年齢を問わずに食べられる、冬場の定番のおやつとも言えるのかもしれません。今でこそコンビニのレジ横でスチーマーで温められて販売されていますが、このスチーマー販売の先駆けとなったのが井村屋です。前回の記事ではこれまでの歴史や販売方法などを、井村屋株式会社の商品開発部/点心・デリ/DCチーム 赤阪忠厳さんと、商品営業企画部 西口真莉香さんにお聞きしました。今回は、新商品の開発や60年もの間愛され続ける理由をうかがいます。 【マンガ】カナダ人が「日本のトンカツ」を食べて唖然…震えるほど感動して発した一言 前回記事<日本全国でおなじみの「井村屋」の「肉まん」と「あんまん」、どちらのほうが売れている?>
コンビニやスーパーで見かける肉まん・あんまんは種類が少ない!?
普段の買い物でスーパーに行ったり、コンビニを利用したりすると、肉まん・あんまんの味の横展開が少ないように感じることもあります。地域によって差は出るでしょうが、筆者が住んでいる地域のスーパーで見かける井村屋の商品は、ゴールドシリーズの肉まんとあんまん、ピザまん(2コ入ゴールド肉まん、2コ入ゴールドあんまん、2コ入ゴールドピザまん)のみ。そうなると味の展開が少ないのかと思ってしまう人もいるかもしれません。この3種類がメインになっているのは事実ですが、その背景にはお店の冷凍食品売り場のスペースの問題があります。他のメーカーの商品を並べますし、唐揚げや餃子、お弁当のおかずなど冷凍庫に並べたい商品がたくさんあるなかでは、スペースの拡大はそう簡単にできることではありません。 とはいえ、味展開をしていないかというとそうではありません。2024年には「チーズカレーまん」を発売していますし、過去には外側の生地が真っ黒な「イカスミまん」が話題となりました(1994年発売)。プリンをイメージした可愛い「プリンまん」は、卵と牛乳を使い甘くてまろやかな味が当時(1998年)の女子高校生に大ウケし大ヒットに。 さらに時代のトレンドに合わせて、たとえばB級グルメとして人気のある富士宮やきそばを使った「井村屋 富士宮やきそばまん」を発売するなど、これまでに600種類以上の肉まん・あんまんを生み出しています。 これだけの味を作り出す背景にあるのは、開発面での苦労です。肉まん・あんまんに合う味のヒントを探しに、横浜中華街やコンビニなどの商品の食べ比べをしたり、時代のトレンドをキャッチしたりしています。また新しい味を発売すると、それを食べた消費者からの意見をいただくこともあるので、それを大切にしつつ開発に活かすこともあるそう。 これは余談になりますが、井村屋の担当者に「これまで最もチャレンジだった味は何か?」と聞いたところ「ビジネスまん」と答えてくれました。 1996年に発売された商品で、栄養ドリンクを甘いあんにして中に入れています。甘酸っぱいので、どことなくスイーツのような印象になるのでしょうが、少々意表をつくような発想だったこともあり、売上は振るわなかったそうです。