なんと「600種類以上」の「肉まん・あんまん」を生み出してきた井村屋が、「最もチャレンジだった味」と語った「ビジネスまん」の正体
肉まん・あんまん。実は色も重要
肉まん・あんまんは外側の生地が白っぽい色になっています。これは井村屋に限らず、他のメーカーでもほぼ同じ。商品によっては特徴をいかしたカラー、たとえばカレーまんなら黄色、ピザまんはオレンジのようになっています。また肉まんとあんまんは同じ白っぽい色ですが、肉まんは外側の生地が少しねじられており、あんまんのほうはそれがありません。これは見た目で簡単に判別がつくようにするため。たとえばコンビニでスチーマー販売をする場合、何種類もの肉まんやあんまんが並ぶことも多々あります。特徴がないと店員さんが間違えてしまう恐れがあるので、形や色で区別ができるようにしています。 色に関して忘れてはいけないのが、井村屋が発売した「イカスミまん」。外側の生地が真っ黒になっていますが、当時黒は食品業界ではタブーとされていた色でもありました。それでも黒色のインパクトは強かったですし、中に入っていたマカロニ入りトマトソースとの相性もよく人気商品となりました。 食品の色は食べる人に視覚的に訴えるもので、そこから何を感じ取るのかで、食べるか食べないかが決まることもある、とても重要なファクターです。今でこそ炭を含むパンやお菓子などもたくさん販売され、黒に対する抵抗はあまりなくなっていますが、当時の井村屋のチャレンジは社会的にも大きな意味があったのかもしれません。
肉まん・あんまんの新しい食べ方の提案
肉まん・あんまんは、蒸したり電子レンジで加熱したりしてそのまま食べるイメージが強いですが、それでは食べるシーンが限られてしまいます。夕ご飯までのつなぎとして食べるなど、「おやつ」的な捉え方が多いのではないでしょうか。そこで井村屋では、肉まん・あんまんの新しい食べ方を提案。アレンジレシピをホームページで紹介しています。 実は筆者も、肉まんやあんまんをホットサンドメーカーで焼いて食べたことがあります。外側の生地に焦げ目がつき香ばしい味わいに。もともと生地がふっくらとしていて、それが美味しさの秘密でもある肉まん・あんまんですが、あえて焦がして歯ごたえを変えるだけで味わいの幅が広がってきます。 さらに肉まんを横に半分にカットして、間にレタスやスライスしたトマトをサンドする「肉まんバーガー」は、肉まんの具材や肉汁が野菜とマッチ。 そして担当者がおすすめしてくれたのが、「ジューシー肉まんのグラタン」でした。グラタンに合わせるパンの代わりに肉まんを使うというイメージで、グラタンのホワイトソースと肉まんの生地の相性はよいのだそう。市販のグラタンの素を使って簡単に作れますし、何よりも肉まんをおかずとして食卓に出すことができます。「おやつとしての肉まん」からの脱却を可能にするというわけです。