なんと「600種類以上」の「肉まん・あんまん」を生み出してきた井村屋が、「最もチャレンジだった味」と語った「ビジネスまん」の正体
2024年度で60周年。愛されている理由とは
肉まん・あんまんの発売から2024年度で60年の月日が経ちました。60年もの間、ずっと食べ続けられている理由は、井村屋としてのオリジナリティを追求した商品を開発し、作り続けていることが大きな要因となっています。これまでトレンドや消費者の嗜好を踏まえ600種類以上の味を展開し、肉まん・あんまんに関しては時代に合わせた改良を続けています。この改良は味の変化もありますが、「時代に合わせる」という意味ではパッケージも変化しています。肉まん・あんまんはトレーに乗せられてパッケージングされていましたが、環境への配慮から現在はトレーを使用していません。味の改良によって販売数を上げることが企業としての大きな目標にはなるのでしょうが、それだけに注目するのではなく、企業の存在価値や在り方を多角的に考えています。 さらに家で肉まんやあんまんを電子レンジで加熱したら、皮が固くなった経験がある人もいるかもしれません。肉まん・あんまんをラップで包む際に隙間なくラップができればいいですが、隙間ができてしまうことも。そうすると水分が抜けてしまい、外側の皮がかたくなることがあるのです。そのようなミスがないように、個包装にした商品も少なくありません。 たとえば、ゴールドシリーズの肉まん・あんまんもそうですし、60周年記念で販売されている「伊勢海老肉まん・松阪牛すきまん詰合せ(冷凍)」も個包装となっています。万一加熱に失敗をしたらショックですし、やはり井村屋こだわりの味を損なうことなく味わってほしいという思いが込められているのでしょう。 これからも井村屋は、具材の味やごろごろ感、外側の皮のふわふわしっとりとした食感などを守りつつ、市場環境の変化や消費者の嗜好を捉えた商品を開発してくのでしょう。より美味しい肉まん・あんまんを作り提供するための技術の開発や導入も欠かすことはできません。 井村屋は「おいしい!の笑顔をつくる」を社会的使命としています。熱々の肉まん・あんまんをフーフーしながら頬張った時の、あのなんともいえない安心感と幸福感は、おそらく多くの人が味わった感覚ではないでしょうか。この取材を通して筆者があらためて気づいたのは、身近にあるもので人はここまで笑顔になれるということでした。今もう大学生になった子どもが小さい頃、肉まんやあんまんを頬張ってニコッとしたあの表情を思い出し、この冬も肉まん・あんまんを用意して子どもたちの帰りを待とうと思う次第です。
川崎 さちえ(フリマアプリ・ネットオークションガイド)