スーファミか、メガドライブか...フランスのゲーム開発者が語る「日本のゲーム業界の強み」
近年、レトロゲームが再注目されている中、スーパーファミコン時代のゲームにインスパイアされたインディーゲーム『Dagada's Story』の発売が決定(2025年予定)。今回、東京ゲームショウにも出展している、本作の開発者・Matthieu Luさんに、開発の背景や、日本のゲーム文化への想いを語ってもらいました。(文:小林実央) 【写真】Matthieuさんが開発した『Dagada's Story』プレイ画面
スーファミ派? メガドライブ派?
――『Dagada's Story』はスーパーファミコンのゲームからインスピレーションを得たとのことですが、スーファミはフランスでも人気があったのでしょうか? スーパーファミコン(フランスではSuper Nintendoと呼ばれていました)は、フランスでとても人気がありました! 友人たちとゲームを交換して、さまざまな日本のゲーム、たとえば『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』や『ヨッシーアイランド』を知ることができました。 多くの日本・アメリカのゲームが発売されていましたが、アステリックスやタンタン、ラッキー・ルークなどのフランス人にとって馴染みのあるキャラクターが登場する作品も沢山ありましたね。 当時のフランスでは、任天堂とセガの間で競争があり、ほとんどの家庭はスーパーファミコンかメガドライブのどちらかを持っているような状況でした。私の記憶では、メガドライブは、より暗く、より未来的なスタイルで10代をターゲットにしていたため、当時の私はあまり魅力を感じていませんでした(笑) ――現在でも、日本のゲームはフランスでの認知度が高いのでしょうか? ゲームそのものよりも、ゲームのヒーローの方が広く知られています! マリオ、ゼルダ、クラウド(ファイナルファンタジー)...などなど。また、小島秀夫さん、宮本茂さん、坂口博信さんといったクリエイターの方々も有名ですね。
日本のゲーム業界の強み
――影響を受けた日本のゲームはありますか? プレイしたすべてのゲーム機には、印象的な日本の作品がありました。 スーファミでは、『ゼルダ』と、もちろん『マリオ』。PlayStationでは『ファイナルファンタジー』。私は、FFシリーズで日本のRPG(JRPG)の存在を知りました。 そして10代になると、より成熟した世界観を持つ作品、例えば『メタルギア ソリッド』や『ベイグラントストーリー』をプレイしました。PlayStation2では、PlayStation1で始めたシリーズをプレイし続けました。特に上田文人さんのゲーム(『ICO』や『ワンダと巨像』など)からは、大きな影響を受けています。 ここまで挙げたゲームには少し懐かしさを感じると思いますが、現在でもプレイできるゲームばかりです。30年以上経っても楽しめるということは、作品のクオリティが高かった証だと言えるでしょう。 私が思うに、日本人の強みは、創作物すべてに日本の精神を注入する能力だと思います。それは音楽や映画、ビデオゲームにも感じられます。日本のゲームは、他のゲームとは何か違うものを提供していることが多いのです。 さらに、『ダークソウル』シリーズを生んだ宮崎英高さんのように、独自のスタイルを持ち、まったく新しいタイプのゲームを生み出すことができるゲームデザイナーがいることも、日本のゲーム業界の強みだと思います。