新生活の悩みを相談するならどうすべき? 鴻上尚史が考える“相談するときの心構え”
「マウントをとる人には相談しない」相談するにふさわしい相手の選び方
――相談相手として選ぶべきではない人はどんな人なのでしょうか。 鴻上尚史: まず、口が軽い人は相談相手として選ぶべきではないですね。相談したときに「○○さんも同じことで悩んでいたよ」などと言われると、ギョッとしますよね。その人にとって秘密に対する重要度が低いから、そんなことを言うんです。 あとは、マウントをとってくるような人にも相談しない方がいいですね。以前、友達から急に絶交された、という女性から相談を受けたことがありました。ずっと友達である彼女の悩みを聞いてあげていたのに、なぜ絶交されたのか分からない。高校から大学、社会人になっても本当に親身になって悩みを聞いていたのに、突然もう会わないと言われた、と。 そこで彼女に「自分から何か相談はないか、と聞いていませんでしたか」と尋ねました。要するに悩み相談は相手からしてきたのかということを聞きたかったんです。もしかしたら、僕に相談に来た女性は、「何か悩んでない?」と相手に聞くことが多かったんじゃないかと。 そうやって悩みがあるかを相手に聞く人たちは、“自分のために”人の相談に乗ってしまっています。自分は良いことをしている、相手を正しい方向に導いている、そういう満足感を得たいと思ってしまっているのです。なので、悩みがあるかを聞いてくる人には相談しない方が良いと思いますね。 ――誰かに相談しても、思ったようなアドバイスをもらえないと感じる人もいます。こういった場合、何が問題だと考えますか。 鴻上尚史: 抱える悩みや問題はその時々で違ってくるので、その時の相談にふさわしい人と出会うことがすごく大事です。ただ、あるレベルを超えると、今まで相談していた人のキャパを超える悩みと向き合うようになります。そんな時は、歴史上の人物や書籍に頼るのも一つの解決方法かもしれません。 あるいは、違う畑の人と話し合うことも良いと思います。話を聞く中で「それは僕の業界だとこういうことか」と置き換えて、考え方自体を参考にしていけると良いと思いますね。