南果歩「読み聞かせは大人にも必要」東日本大震災の被災地でボランティア活動を行う理由 #知り続ける
多くの被災者を出した未曽有の大災害、東日本大震災からもうすぐ12年。かねてから絵本の読み聞かせの活動をしていた女優の南果歩さんは、震災後、人々の心のケアになればと被災地を訪れ、ボランティアとして活動し、今も折に触れて現地を訪れている。絵本の読み聞かせの活動を通じて感じた被災者の心の変化や、震災が風化していく現実について思うことを聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
被災地での読み聞かせは「大人への癒やしでもある」と気づいた
――絵本の読み聞かせを始めたきっかけを教えてください。 南果歩: 息子が小さい頃、たくさん絵本を読んでいたんです。息子に読み聞かせが必要なくなってからは、ボランティアでいろんな場所で絵本を読む活動を始めました。 東日本大震災が発生したとき、自分が現地でできることは少ないかもしれないけど、読み聞かせならできるなと思ったんです。被害の状況が少し落ち着いた頃に、東北各地の小学校や幼稚園、保育園や小児病棟などを回って、ボランティアで読み聞かせをするようになりました。 ――その後の熊本地震の際なども、ボランティア活動を積極的に行っていますね。 南果歩: 私は兵庫県出身なのですが、1995年に起きた阪神淡路大震災のとき妊娠中で、思うように現地でのボランティアができなかったんです。物資を送るくらいしかお手伝いができなかったことが心残りだったので、東日本大震災の際は自分にできることはないかとすぐ動きました。 ――被災地の子どもたちに読み聞かせをしてどんなことを感じましたか? 南果歩: 幼稚園や保育園に足を運ぶと、子どもはもちろん、親御さんも聞きに来られるんですね。読み聞かせをすると、実は大人の方が涙ぐんでいることが多くて。子どもたちはキャッキャとはしゃいでいるのですが、大人たちは復興がなかなかうまくいかないこともあったりしてストレスを抱えていることに気づいたんです。 読み聞かせは、実は大人にも必要とされていることなのかもしれない。その気づきから昨年自分で絵本を作ったのですが、子どもたちにとって楽しい絵本でありつつ、大人の心も癒やしたいという思いを込めました。