もう一度走りたかったチェリーX-1R【4】書類なしからナンバー取得まで。エンドレスがこだわった正統性|エンドレスが挑む
納屋の中で見つかった1台のチェリー。走ることへの意欲を感じさせながらも、長らく眠っていたボディが路上復帰を拒んだ。そこでエンドレスがチームを組み、レストアプロジェクトをスタートさせたのだった。 ※本記事は「ノスタルジックヒーロー」2020年12月号にて掲載されたものです。 【画像7枚】書類なしから見事にナンバー取得を達成し、公道に復帰したチェリー X-1R 【Vol3】から続く 【エンドレスが挑む もう一度走りたかったチェリーX-1R vol.4】 「動かなければクルマではない」と、エンドレスの花里功社長(当時)は言う。体裁を整えるだけでは、クルマがよみがえったことにならないというのだ。 さらに、クルマは普通に公道を走れなければならないともいう。今回、この最終的な目的を達成するために大きな苦労があった。しかし、エンドレスはこの困難を突破したのだった。 問題となったクルマは、オートサロン2019でお披露目されたチェリー。このクルマには書類がなかった。 本来、書類がない場合、自動車検査登録事務所で申請すれば、書類を起こすことできる。これは、主に書類を紛失した人の救済ということ。 しかし、チェリーの場合、古かったこともあり、提出書類の「所有権を証明するに足る書類」が準備できなかった。 ここで、話を整理すると、前オーナーはクルマ販売店よりチェリーを購入、その後、一時抹消して車庫に保管、エンドレスに売却。しかし、書類は紛失していた。購入した販売店はなくなっていて、販売証明も入手できなかった。 そこで、エンドレスは所有権請求の裁判を起こすことにしたという。原告はエンドレス、被告は前オーナー。ナンバーを取得したかったという前オーナーも協力し、略式で進められ、裁判は終了。原告が勝訴し、無事に判決文が出て、書類が揃い正攻法でナンバーを取得した。どうしてここまでしたのか。 「世の中に書類のないクルマがたくさんあります。それだけで貴重なクルマが消えていくのはもったいないことです。だからこそエンドレスが正しい方法でナンバーを取得できることを証明して、多くの人に実践してもらいたいと思ったからです」と花里さんは語ってくれた。 初出:ノスタルジックヒーロー 2019年 12月号 Vol.196 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部
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