80代以上の2人に1人が<慢性腎臓病>?2005年から15年にかけて患者数は150万人も増加…その理由とは。専門医「生活習慣病、心血管疾患と関連が」
日本の20歳以上の慢性腎臓病(CKD)の患者数は、約1480万人と推定されるそう。腎臓は「沈黙の臓器」と言われ、気づかないうちに悪化してしまうおそれがありますが、東北大学名誉教授の上月正博先生は「かつて<不治の病>とされてきた慢性腎臓病は、運動と食事で<治せる病>になりつつある」と語っています。そこで今回は、上月先生の著書『腎臓の名医が教える 腎機能 自力で強まる体操と食事』から一部引用、再編集してお届けします。 【書影】腎臓寿命を延ばす!東北大学病院式の腎臓リハビリを伝授。上月正博『腎臓の名医が教える 腎機能 自力で強まる体操と食事』 * * * * * * * ◆70代の3人に1人、80代以上の2人に1人が腎臓病 現在、日本の20歳以上の慢性腎臓病(CKD)の推定患者数は、なんと1480万人です。人口比で、日本の成人の実に7人に1人がこの病気で悩んでいる計算になります。 CKDは、慢性腎臓病の略称で、chronic kidney diseaseの頭文字を取ったもの。慢性に経過するすべての腎臓病を指します。 2005年には、20歳以上の慢性腎臓病の推定患者数は1330万人と言われていました。2015年にその数字が改められ、新たに推定患者数が急増したのです。 たった10年で1330万人から1480万人へと、推定患者数が150万人も増えた理由はなんでしょうか。 それは、日本で進行する超高齢化の影響です。 病気でなくても、加齢により腎臓の機能は自然に低下します。腎機能の低下は、加齢に伴う自然現象とも言えるのです。このため、高齢者が増えれば、慢性腎臓病の患者さんも増えていきます。 ある統計では、70歳代の3人に1人、80歳代以上の2人に1人が慢性腎臓病になっています。 つまり、慢性腎臓病は国民病であり、私たちの誰もがかかる恐れのある病気なのです。
◆慢性腎臓病が恐れられる3つの理由 慢性腎臓病が恐れられるのには、以下の3つの理由があります。 (1)腎臓は沈黙の臓器。気づかないうちに悪化する (2)高血圧や糖尿病などの生活習慣病があると腎臓も悪くなる (3)心筋梗塞などの心血管疾患を招き、死亡リスクが高まる 腎臓は、「沈黙の臓器」と言われます。 多少、腎機能が落ちてきても、初期段階では自覚症状がほとんど現れないからです。 そのため、気づかないうちに、症状が進行してしまう可能性が高いのです。この特徴が、患者数を増やす原因にもなっています。 気づかれにくいからこそ、定期健診などで腎臓に関わる数値もきちんとチェックしておきましょう。
【関連記事】
- 1日ベッドで安静にしているだけでヒトは<2歳老化>する?腎臓リハビリ専門医「長年推奨されてきた<慢性腎臓病=安静第一>という考えは今や…」
- 不治の病とされた「慢性腎臓病」が近年<治せる病>に?専門医「かつての常識では、腎臓病になった後に体を動かすのはもってのほかだったが…」
- 小倉智昭「コレクション用の部屋を畳み、荷物を入れた自宅から妻と義母が出て行き…。一人暮らしで妻との仲がより親密に」【2024年上半期BEST】
- 慢性疲労の裏に隠れているかもしれない<腎臓の劣化>。糖尿病専門医「腎臓が文句を言いだしたときには回復不可能なことも」
- 「ちょっと高めの血圧」がもたらす悪影響とは?糖尿病専門医「慢性腎臓病の発症リスクは1.28倍。腎臓や体もボロボロに…」