【丸の内Insight】三菱UFJ次期トップ選び本格化、来春に新体制
常務執行役員でグローバルコマーシャルバンキング事業本部副本部長を務める大澤正和氏(1991年旧三菱銀行入行、東京大学法学部卒)は、デジタル部門と海外部門での経験が強みだ。シンガポールの配車大手グラブへの出資では当時の亀澤副社長の下で出資をまとめるなど、グループのデジタル戦略を引っ張ってきた。
現在は、グループが成長領域として位置付けるアジア地域の責任者を務める。自らの部門に縛られない全社的な目線でものを考えるとの評がある。
代表執行役常務でグループCSO(最高戦略責任者)の髙瀬英明氏(91年旧三菱銀行入行、一橋大学経済学部卒)は、2024年3月期から始まった中期経営計画の取りまとめを担当した。前中計の増加幅3600億円を大きく上回る5000億円以上の営業純益の上積みを図る野心的な計画を練り上げた。
21年に欧州担当になった際には、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後に混乱した欧州事業の再編やリストラ、欧州当局との折衝に力を注いだ。部下の話を丁寧に聞くとの評がある。
代表執行役専務で法人・ウェルスマネジメント事業本部長の宮下裕氏(1990年旧三和銀行入行、京都大学法学部卒)は、海外から法人やリテール業務まで幅広い業務を担ってきた。現在は、従来型の資産運用だけでなく、オーナー企業の事業承継などから派生する業務も富裕層ビジネスとして位置付け、拡大させている。
自ら掲げた目標に対するコミットメントが強いとされ、旧三和銀行出身のエースとしても期待されている。
執行役常務でリテール・デジタル事業本部長兼グループCDTO(最高デジタル・トランスフォーメーション責任者)の山本忠司氏(92年旧東京銀行入行、東京大学経済学部卒)は、グループ横断のデジタル戦略を担う。銀行やカード、証券、消費者金融などグループの各業態を束ねたマスリテール向けのプラットフォーム戦略の巻き返しを図っている。
常に物腰が柔らかく、決して部下を責めることをしない姿勢は、グループ内での信頼感の醸成に一役買っており、グループ各社の一体感が高まっているという。