【訪問記】ケルン西部にあるトヨタコレクションを訪ねる スープラ、2000GT、セリカ等、歴史的コレクションに加え多くのレースカーも!
ラリーの歴史
しかし、「セリカ」は世界ラリー選手権でも活躍を続けた。1990年から1994年にかけて、トヨタは5年中4年でドライバーズ世界選手権を制覇。スペイン人のカルロス サインツがステアリングを握った年も2度あった。そして、まさに彼に敬意を表して、トヨタは四輪駆動セリカの特別仕様車「カルロス サインツ エディション」を製作した。世界で5,000台のみが生産され、そのうち680台がドイツに輸出された。ボンネットには208馬力の2リッターターボが搭載された。一方、「スープラ」は本格的なスポーツカーへと発展し、4代目では11万マルク(約770万円)という高額な価格となった。ポルシェ、フェラーリ、コルベット・・・。丸みを帯びたデザインと人目を引くスポイラー(「醜い」と言う人もいる)を備えた「スープラ」は、当時の人々が考えていた以上のパフォーマンスを発揮した。今にして思えば、「2JZ」直列6気筒エンジンを搭載したクーペをガレージに半ダースほど置いておいた方がよかったかもしれない。特に、今では希少となった無改造のオリジナルコンディションや、ツインターボを搭載した「GTE」バージョンは・・・。
というのも、映画が公開された2001年当時、「スープラ」の4代目はすでに生産を終了しており、トヨタ自身も映画へのファクトリーサポートを中止していたからだ。だから、プロモーションは基本的に無料だった。その後、「スープラ」の再販を何年も待ったという事実は、誇大広告のせいでさらに理解しがたい。「GRスープラ」が2019年にようやくかつての栄光の日々に戻ろうとするまでには、BMWとのコラボレーションが必要だった。
スポーツの歴史の教訓
すでに「セリカ」とサインツでモータースポーツの歴史に少し触れたが、会場の出入り口には、これから何が起こるかを予感させるものがすでにある。ここにはすでにラリー、ル・マン、F1の伝説があり、しばし言葉を失うが、数本先の通りで我々を待っているのは、まったく異なるレベルのものだ。 トヨタはモータースポーツミュージアムを、巨大な風洞の真下にある工業プラントの中に詰め込んだ。トヨタにはモータースポーツに生きる社長(現会長)がいるのだ。「ラリー セリカ」の全歴史が展示されているほか、「GRヤリス」をベースとした現世代のWRCカーの開発ミュールも展示されている。しかし、展示の中心はル・マンとF1に関するもので、この2つのレースクラスはトヨタにとってかなり不名誉な歴史を持っている・・・。