ユニセフ・子どもの幸福度調査で総合1位 オランダの“教育の実態"とは…ブログやSNSで語られる「素晴らしさ」は本当か、現地在住日本人が検証
5年ほど前から「オランダの教育」が注目されている。 きっかけの1つが小学校で行われている「イエナプラン教育」がテレビなどで紹介されたこと。そしてもう1つが2020年にユニセフが発行する子どもの幸福度に関する調査「レポートカード16」にて、オランダが総合1位を取ったことだ(ちなみに日本は38カ国中20位)。 【写真で見る】アムステルダム中央駅。東京駅のモデルになったという説もあり、どことなく雰囲気が似ている 【写真で見る(全5枚)】5年ほど前から注目されている「オランダの教育」を写真で見る そんなオランダの教育を受けるために移住する家族も増えており、ブログやSNSではその素晴らしさがよく伝えられている。しかし、それらを見ると、筆者が知っているオランダの小学校とはかなり異なる。
これはどういうことなのか。世界100カ国以上の現地在住日本人ライターの集まり「海外書き人クラブ」の会員で、現地在住8年の筆者がその実情に迫る――。 ■「宿題もテストもない」は本当? 「オランダの教育が素晴らしい」とされる1つに、勉強へのプレッシャーが少なく、のびのびと子育てができる点や、学校制度そのものについて紹介されている。例えばこのような感じだ。 1 宿題がない! 2 テストがない! 3 イエナプランやシュタイナー教育など、オルタナティブ教育がたくさん!
(※オルタナティブ教育:一般の学校で行われている伝統的な教育とは異なり、独自の理念や方針による教育) 4 どんな学校も学費がタダ! 5 好きな小学校を選べる! 6 塾も受験勉強もない! ではこれらが本当なのか、具体的に見てみよう。 1 宿題がない! ある。 日本の学校のように「毎日出る」のではなく、「週に一度、まとめて提出」だったり、テスト前だけの場合も。学校向けに販売されるドリルやプリントといった副教材ではなく、オンラインの教材を学校で印刷して配布することが多い。
ただし、オルタナティブ教育の学校ではまったく宿題がない場合もあり、そこから「オランダの小学校=宿題がない」という説が広まったようだ。 2 テストがない! ある。 多くの小学校では習熟度を確認する単元テストや、地理など地名を暗記するテスト、オランダ語もスペリングや発音などのテストがある。だが上述同様に、テストがない学校もある。 3 イエナプランやシュタイナー教育など、オルタナティブ教育がたくさん!