「週5日勤務」ルール、アマゾンは例外認める-完全順守に疑問符
(ブルームバーグ): オンライン小売り大手の米アマゾン・ドット・コムでは、アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)の指示で、従業員は来年1月から週5日をオフィスで働かなくてはならない。しかしこのルールは絶対ではない。
これまで週に3日のオフィス勤務を義務付けていたアマゾンは、すでに完全リモート勤務を承認されている管理職を新ルールの適用から除外する。健康上の懸念やその他特別な事情がある場合も、リモート勤務を継続できる。ジャシー氏が16日付の社内文書で説明した。
「新型コロナ禍の前は、週2日のリモート勤務が当然とはみなされていなかった。これから先もそうだ。特別な事情がない限り、従業員はオフィスにいるものだとわれわれは考えている」とジャシー氏は記述。病気の子どもがいる場合や家族の緊急事態のほか、「1-2日間、周囲との接触を絶ってコーディング(プログラム作成)を仕上げる必要がある」ケースを挙げた。
しかし義務化された方針が必ずしも全面的に順守されるとは限らない。
ハーバード経営学大学院でリモート勤務を研究するプリスウィラジ・チャウドゥリー准教授は「オフィス復帰の問題はその順守だ」と指摘する。「社内文書で指示することは可能だが、それをどうやって従業員に守らせるのか」と語った。
すでにアマゾン以外にも銀行のシティグループや小売り大手ウォルマート、自動車メーカーのステランティスなどが過去数カ月にオフィス復帰のルールを厳格化した。新ルールに同意しなかった従業員を解雇した企業もこれに含まれる。
それでも従業員がオフィスで過ごす時間は、昨年の年初に比べてさほど増加していない。セキュリティー会社キャッスル・システムズがまとめた従業員の入館データによれば、全米のオフィス占有率は依然としてコロナ禍前の半分ほどしか回復していない。
コロナ禍を境に仕事のノルマや慣行が著しく変わったことが一因と考えられる。米労働統計局のデータによれば、2020年に入るまではリモート勤務は月に1、2日程度だった。コロナ禍から4年が経ち、人々は「新しい働き方に慣れた」とチャウドゥリー氏は指摘。「例外が当たり前になるのかもしれない」と話した。