没頭し最高の能力が発揮できる「フロー状態」、燃え尽きずにうまく乗りこなす方法
情熱とは、エネルギーを消耗するものではなく、全体的なウェルビーイングを支えるものであるべきだ
『European Journal of Social Psychology』で発表された研究では、強迫性パッションをもつ人は、自らの価値を、なんらかの活動をしている際のパフォーマンスをもとに評価する傾向にあり、そのせいで、成功するか失敗するかによって自尊心が変動することがわかった。それに対して、調和性パッションをもつ人は、自分のパフォーマンスに影響されにくかった。 強迫的な考え方は健全ではない。というのも、完璧を求めるあまり心が疲弊し、物事が計画どおりに進まないとアイデンティティの危機に陥ることさえあるからだ。また、自分に対して非現実的な期待を抱いてしまい、それを満たせない、という避けがたい事態になったときには、自尊心の低さと自己批判的な思考が互いを増幅しあう悪循環も生まれる。 こうしたストレスと絶えまない自己批判により、前向きな感情や人生の満足感が時とともに損なわれてしまうと、メンタルヘルスに影響がおよびかねない。こうした「フローの罠」から逃れるための鍵は、情熱を「自分の価値」の指標ではなく、喜びの源にすべきだ、と認識することにある。 情熱とは、エネルギーを消耗するものではなく、全体的なウェルビーイングを支えるものであるべきだ。大好きな活動は、うまく導けば、人間的な成長と幸福の強力な原動力になる。定期的に時間をとって、情熱の対象との関わり方を検証すれば、ストレスとバーンアウトが徐々に蓄積していくのを防ぐことができる。 大切なのは、自分の情熱の背後にある「なぜ」、つまり、そもそもそれを好きになった理由を忘れないことだ。情熱は、心地よい逃げ場になるかもしれないが、人生を損なうものであってはならず、人生を高めるものであるべきだ。このことを胸に刻み、注意して扱えば、情熱は今後もよい影響をもたらしてくれるだろう。
Mark Travers