青木真也が王座奪還したシンガポール格闘イベントONEの日本上陸は成功したのか
アジア最大規模のシンガポールの格闘技イベント「ONEChampionship」が日本に初上陸した。31日、両国国技館で行われた「A NEW ERA(新時代)」と銘打たれた大会は超満員のファンで膨れあがり、メインイベントで“エース”青木真也が、ONEライト級王者のエドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)をわずか2分34秒で肩固めで破って2年4か月ぶりにベルトを奪還した。日本の格闘ファンにインパクトを与えたONEは10月にも日本で第二弾を開催する予定だ。
海外メディアは100人以上。リングサイドは15万円
両国国技館に異空間が生まれた。 ど真ん中に高いケージで囲まれた丸いリング。 場内の北側の観客席を潰して巨大なスクリーンが3つ設置され、アナウンスのほとんどが英語。後半戦では日本語のアナウンスも混じったがリング上での勝利者インタビューも英語で行われ、専属アナが異常なハイテンションで盛り上げるのだ。ラウンドガールもアジアンビューティーの美女で固められ、客層も通常の格闘技会場のそれとは少し違っていた。アジアのスターが次から次へと登場することも手伝ってか、国際色豊かだったし、飲み物とおつまみ付きのリングサイドの15万円のVIP席も完売。アリーナ席は5万円とチケットの設定は高めだったが、女性の姿も目立った。海外メディアの数は100人以上。 チャトリ・シットヨートンCEOは、「歴史のある日本の格闘界のモニュメントだから」との理由で大相撲が行われボクシングやプロレスなど、数々の格闘技の名勝負が生み出してきた両国を日本初上陸の場所に決めたという。 大会は2部構成で計16試合が組まれた。15時30分スタートの“1部”では、凱旋試合となった「V.V MEI」こと、元DEEP JEWELSフェザー級王者の山口芽生が腕ひしぎ逆十字の“1本勝ち”で会場を沸かせ、RISEで那須川天心を追い詰めたムエタイ王者のロッタン・ジットムアンノン(タイ)が、小さいオープンフィンガーグローブを使うムエタイルールの試合で、ハキム・ハメッシュ(フランス)に判定勝利し、試合後「ONE」での那須川との再戦を訴えた。“ぬるい試合”も目立ったが、18時30分過ぎから始まった“2部”では、ビッグネームが白熱したファイトで会場をヒートアップしていく。 PRIDE崩壊後に立ち上がったDREAMに参戦後、UFC、Bellatorで王者となったエディ・アルバレス(米国)が、ライト級のワールドGP準々決勝でティモフィ・ナシューヒン(ロシア)に右フック、ストレートのラッシュを受けて、まさかのKO負け。K-1で魔裟斗と激闘を演じたアンディ・サワー(フランス)も、WBCのムエタイ王者、ヨードセングライ・IWE・フェアテックス(タイ)に強烈な左ストレートの前に屈した。 パンクラスで活躍した若松佑弥は、UFCで、山本KID徳郁、堀口恭司を破り、最多の11度防衛を果たした“DJ”デメトリアス・ジョンソン(米国)を危険なパンチで攻める緊迫した内容で健闘したが、グラウンドで削られ最後はギロチンチョークにタップした。 試合後、DJは「初の海外で時差などの不安もあった。若松はタフで素晴らしいファイターだった。パンクラスはいい選手を輩出してきた団体だが、その王者にふさわしかった」と敬意を表するほどだった。