「まずはご挨拶だけでも」と言う人は損してる…商談や交渉を左右する"相手の時間をもらうための神フレーズ"
「まずはご挨拶だけでも」は、相手の時間をもらうときの定番フレーズだ。本当に効果的なのか。コピーライターの藤田卓也さんは「挨拶だけを喜んでしたがる人は少ない。サクッと感を強調した言い方は損が大きすぎる」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、藤田卓也『伝え方で損する人 得する人』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。 ■説得・交渉はアクセルとブレーキのバランスが全て 説得・交渉が苦手という方は多いです。直接こちらの希望を伝えるだけでもいけないし、かといって言われたことを聞くだけでもうまくいかないというバランスの難しさゆえでしょう。 関係性はこれからも続いていくわけですから、とにかく聞きまくって折れまくって相手に合わせるだけでは、対等で良好な関係になりません。でも言いたいことを言うだけでは相手が納得してくれず、そもそも仕事が始まらない。アクセルとブレーキを上手に使い分ける臨機応変さが求められるので、どうしても苦手意識が生まれやすいのでしょう。 ここでは、相手の利益を踏まえながら意図を効果的に伝え、相手の気持ちを動かす伝え方や、交渉から始まる長期的な関係作りについて解説します。 ■相手の背後にある「関心事」を理解する 「ドリルと穴」の例えをご存じでしょうか。「ドリルを買う顧客は、ドリルが欲しいのではなく穴が欲しい」というものです。顧客のニーズを掴む重要性を教えてくれる例として有名です。 マーケティング界のドラッカーと言われたセオドア・レビット氏が、彼の本の中でレオ・マックギブナ氏が4分の1インチドリルが売れた理由を語った言葉を紹介したものです。日本で発売されたのは1971年ですから、かなりの古典です。「傘が欲しいのではなく、濡れたくない」「サラダチキンが欲しいのではなく、腹持ちの良いタンパク源が欲しい」といった具合に、相手が本当に求めているものは何なのかは実際の行動そのものの奥にあるということです。 もしあなたが値下げを要求されており、相手を説得しなければならない場合を考えてみましょう。相手が求めているものは、本当に値下げなのでしょうか。このプランは効果検証テストとして実施するので、今の規模では大きすぎるためもう少しコンパクトにしたいのかもしれません。別の施策が好調で、そちらに予算を寄せたいので、そもそも今のプランの魅力が落ちているのかもしれません。決算が迫ってきており、各事業部でコストの抜本的な見直しが始まってしまい、予実のバランスを取りたいのかもしれません。 値下げという具体的な「要求」ではなく、相手の「関心事」を理解しましょう。背後にある関心事に焦点を当てれば、「値下げしてほしい人」「したくない人」という対立関係が、「共にベストな方法を見つけようとする仲間」になり、より適切な代案を見つけやすくなるからです。