台湾有事に備える~安全保障と経済の優先順位とは サンデー正論
元陸上自衛隊西部方面総監の本松敬史氏は、先島諸島から九州・山口に住民を移動させるには時間がかかることから、武力攻撃予測事態認定を早めにできないかとの声がシミュレーション参加者から出たと明かした。
■日本は中国の主張受け入れず
シンポジウム冒頭、JFSSの渡辺利夫会長は、台湾有事を考える上で「決して忘れてはならないこと」として、1972年の日中共同声明をめぐる交渉を担った外務省条約課長だった栗山尚一氏の言葉を紹介した。
「台湾が中華人民共和国の不可分の一部であるとの中国の主張を(日本側が)受け入れた場合には、台湾に対する中国の武力行使は国際法上の内戦の一環として正当化され、他方、台湾防衛のための米軍の軍事行動を、わが国が支援する法的な根拠を失ってしまう」
中国は事あるごとに「一つの中国」に言及するが、日本は中国の主張を受け入れたわけではないことを改めて確認しておく。(特任編集長 田北真樹子)