中小企業の事務職で年収「380万円」。これは多い方なのでしょうか?
「事務職」と聞くと、一般的にほかの職種と比べて給料が少ないイメージを抱く人もいるかもしれません。とくに中小企業は、大企業と比べ年収が少ない可能性もあるでしょう。 そこで今回は、事務職の年収を企業規模別・仕事内容別にご紹介します。ぜひ参考にしてください。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
中小企業の定義
まずは、中小企業の定義について確認します。中小企業というと、数十人規模のイメージを抱くかもしれません。 中小企業庁によると、中小企業基本法の中小企業の定義は、業種ごとに異なります。中小企業基本法第二条の中小企業の定義をまとめたものが、表1です。「資本金の額もしくは資本金の総額」「常時使用する従業員の数」のどちらか一方を満たすことで、中小企業と認められます。 表1
※中小企業庁「中小企業基本法」を基に筆者作成 中小企業基本法では、このように定義されていますが、法律や制度によって、定義が異なる場合があります。
中小企業事務員の平均年収
中小企業基本法の定義に沿って、中小企業事務員の平均年収を大企業と比較してみましょう。 令和5年賃金構造基本統計調査を基に、人事・会計・営業それぞれの事務職の年収を企業規模ごとに計算したものが表2です。なお「きまって支給する現金給与額」とは、基本給に職務手当や通勤手当などの各種手当、超過労働給与額を含んだ額となります。 表2
※総務省統計局「令和5年賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成 卸売業・サービス業・小売業においては企業規模10人~99人、そのほかの業種においては企業規模100人~999人までが中小企業の定義に該当します。企業規模が大きくなるにつれて年収は上がっていくものの、すべての中小企業で事務職の年収は400万円を超えていることが分かるでしょう。 なお、賃金構造基本統計調査では、ほかに「企画事務員」「受付・案内事務員」などもあります。10人~99人の企業規模の会社の場合、企画事務員の年収は479万4900円とほかの事務員よりも多く、受付・案内事務員は322万1000円と少なくなっており、同じ事務でも、仕事内容によって年収に差があることが分かります。