今日天皇賞・秋…アーモンドアイは史上初の8冠馬になれるのか?
ではアーモンドアイ自身の調整具合はどうなのか。3週にわたって意欲的な併せ馬。今週の最終追い切りでは美浦Wコースで先行2頭を追い掛け、直線は並ぶ間もなくかわし、2馬身先着した。5ハロン64秒4と破格のタイム。ラスト1ハロンを12秒3とシャープに伸びた。 その内容にクリストフ・ルメール騎手は「トップコンディションで臨める。G18勝ならレジェンドホース。勝つ自信はある」と豪語。 国枝栄調教師も「今までの休み明けでは一番いい」と声のトーンを上げている。秋華賞のマジックキャッスルは2着、菊花賞のサトノフラッグは3着とアーモンドアイと併せた馬が結果を残しているのも厩舎の仕上げの確かさを示しているようでもある。 ただ牝馬にとって5歳の秋は微妙な年頃と指摘する厩舎関係者は多い。栄養状態が良くなり、調教技術もアップしており、加齢による衰えは緩やかになっているのは間違いがないが、昨年の能力を保っている保証はない。 「一般的に牝馬の方が成長が早い。総合的に見てピークは4歳。5歳で絶頂期を迎えることは極めてまれです」と話す調教師もいた。 加えて厳しいデータもある。天皇賞の勝ち抜き制が廃止された1981年以降、天皇賞・秋を連覇したのは2002、03年のシンボリクリスエスのみ。あのテイエムオペラオーもブエナビスタも連覇を阻まれ、ジェンティルドンナは2年連続で2着に敗れている。それほど、東京の2000メートルにはスピードとパワーが求められ、極限の戦いになるということなのだろう。 アーモンドアイの連覇を阻止するとすれば、4歳勢だろう。宝塚記念を制したクロノジェネシス、G1級の破壊力を秘めるダノンキングリーらか。 G17勝で1986年に引退した「皇帝」シンボリルドルフ、「英雄」ディープインパクト、「女傑」ウオッカら過去の名馬5頭が超えられなかった8冠の壁をアーモンドアイは今後こそ超えることができるのか。 (文責・山本智行/スポーツライター)