なぜアーモンドアイは安田記念で8冠挑戦に失敗したのか…考えられる3つの敗因
春のマイル王を決める「第70回安田記念」(1600m芝、G1)は7日、東京競馬場で行われ、単勝1.3倍と断然の1番人気に支持されたアーモンドアイ(牝5、国枝栄厩舎)だったが、末脚が不発、2馬身半差の2着に完敗した。芝G1レース最多となる8冠達成は、ならなかった。敗因としては、「出遅れ」と「やや重」の馬場、そして初の「中2週」ローテーションの3つが影響したものと考えられる。なお、金星を挙げたのは、昨年の桜花賞馬で3番人気のグランアレグリア(牝4、藤沢和雄厩舎)。3着は2番人気で昨年の覇者インディチャンプ(牡5、音無秀孝厩舎)だった。
響いた前日の雨で湿った馬場
無人の観客席から悲鳴が聞こえてくるようであった。坂になっている東京競馬場の最後の直線。好位置から力強く抜け出したのは8冠に挑戦したアーモンドアイではなく、3番人気のグランアレグリアだった。外に持ち出したアーモンドアイも、必死に後を追うが、その差は縮まらない。2馬身半も離されての2着。昨年の勝ち馬でマイルG12勝のインディチャンプを半馬身かわしたのが、せめてもの意地だった。また「皇帝」シンボリルドルフの「呪い」は解けなかった。8冠に壁はあった。安田記念は昨年も3着。まるで鬼門のようだ。 一方、中団をリズムよく追走したグランアレグリアのラスト3ハロン33秒7の数字は、メンバー最速だった。「やや重」の良くなかったコンディションの馬場で1分31秒6は立派な時計。昨年の桜花賞に続くG12勝目である。 なぜアーモンドアイは敗れたのか。8冠達成を拒んだ誤算は何だったのか。 前日の雨が少なからず影響したのは間違いない。この日の東京競馬はダート「不良」、芝「やや重」でスタート。ダートは途中から「重」となったが、芝は最後まで「やや重」のまま。高速馬場だと1分30秒台の持ち時計があるアーモンドアイ、ノームコア、インディチャンプに有利に働くところだったが、馬場が湿り、時計が掛かることになり、他馬に勝つチャンスが生まれた。G1馬が10頭そろい、史上空前ともいえるハイレベルなメンバーとなったのが今年の安田記念である。 アーモンドアイは、道悪不問のタイプだった。3歳1月のシンザン記念でも目を見張るような末脚を繰り出している。ただ、伸びあぐねた最後の直線の走りを見る限り、自慢の切れ味を、馬場によって、そがれた可能性は高い。向き不向きで言えば、パンパンの良馬場なのである。上がり3ハロンのタイムは33秒9。そこは、さすがの末脚ではあるが、勝ったグランアレグリアにも4着のノームコアにも及ばない数字だった。