住友商事がスーパー「サミット」に情熱を注ぐ意図、一方で丸紅はひっそりスーパーから撤退
昨年4月には従業員の作業割り当てでAIを導入。ベテランチーフが表計算ソフトで60分以上かけて行っていた作業は1分に短縮。来店予測や部門別売り上げ予測も実証実験を重ね、今年4月から本格運用が始まった。 サミットでDXを推進する山元淳平・国内リテイルユニット長は「AIを導入して部分的に効率化できても、オペレーション全体が効率化されて売り上げや利益が伸びなければ意味がない。全体最適が非常に重要だ」と強調する。
■顧客データは暮らしのデータ サミット事業を含む流通関連部門は、住友商事内でも注力事業に位置づけられている。 「サミットの顧客データは、暮らしのデータそのもの。スーパーは物を売り買いするだけの場所ではなく、情報集積の場所にもなる。スーパーという産業の定義が変わってくるかもしれない」と前出の竹野氏は力を込める。 住友商事は「イトーヨーカ堂」統括会社の買収に名乗りを上げ、サミットとの相乗効果を狙う。 生き馬の目を抜くスーパーの業界で、総合商社らしい「総合力」で勝ち抜けるか。住友商事の試行錯誤は続く。
森 創一郎 :東洋経済 記者