名スカウトのドラフト採点。「一番の成功は阪神の甲子園スター組指名。対照的に低評価チームは……」
来季を戦うためのチーム弱点補強型のドラフトを鮮明に出したのが、日ハムと西武。日ハムは、佐々木を外すと外れ1位でもオリックスと重複したが、社会人のナンバーワン左腕の評価があった河野竜生(JFE西日本)を栗山監督が、引き当て、2位でも外れ1位候補として名前の挙がっていた立野和明(東海理化)を指名した。 西武も佐々木を外したが、外れ1位で巨人と競合した宮川をゲット。2位も社会人左腕の浜屋将太(三菱日立パワーシステムズ)を指名、3位、7位では独立リーグから指名した。 「日ハムと西武は、今年の反省から投手の即戦力補強を意識したドラフトになった。日ハムは社会人から3人。河野は変則で先発でも中継ぎでも使えそうな球威がある。立野は、今は安定感がないが、長いシーズンの中では出てくる可能性があるだろう。4位の鈴木健矢(JX-ENEOS)はサイドハンドで面白い。西武の1位の宮川は、投げっぷりがいい私の好きなタイプのピッチャー。中継ぎでどんどん使って結果を出せるのかもしれない」 ソフトバンクは「余裕のあるドラフト」という評価。 「石川を外して1位は、リードオフマンタイプの佐藤直樹(JR西日本)、2位で二塁へのスローイングが1.7秒台の海野隆司(東海大)、3位では高橋礼の成功で味をしめたのか、馬力のあるサイドハンドの津森宥紀(東北福祉大)を取るなどポジションをばらけさせた」 この4球団と対照的に評価を下げたのはオリックスと楽天だ。 「オリックスも外れ外れ1位となると厳しいね。1位の宮城 大弥(興南)はワンポイントとしてはすぐに出てくるかもしれないが、2位の大型遊撃手の紅林弘太郎(駿河総合高)、4位の前佑囲斗(津田学園)を含めた将来型ドラフト。育成で8人も獲得したところを見ると、先を見据えているのかもしれず、人選は悪くないが、チーム事情を考えると上位は、もう少し即戦力を揃えたかったところだろう」 最下位チームのドラフトとしては疑問が残ったという。 「楽天は、何がしたいのかよくわからなかった。外れ1位の内野手、小深田大翔(大阪ガス)は、この位置で獲得しなくても取れたのではないか。下位でボールに力のある大学、社会人投手を揃えたところに石井GMの味が出たのかもしれないが、ドラフト採点としては80点を切る評価でしかない」 地元の佐々木を外した楽天には「迷走」の印象を持った。 あくまでも片岡氏の独断と偏見によるドラフト採点であることを承知願いたいが、最後に、元名スカウトは、こうまとめた。 「予想通りと言えば予想通りのドラフト。評判通りの選手が評判通りの順位で指名されたという印象を持つ。ただ例年に比べて野手、捕手の指名が目についた。将来型か、即戦力補強型か、バランス型か。そこは永遠のテーマではあるが、チーム作りの根本はやはりドラフトなのだ。ドラフト自体を市場調査を含めて数年単位で計画することが必要になってくるだろう。来年の今ごろ、あの選手がここまでやるか?という裏切りに期待したい」 107人の夢と希望の先には、どんな運命が待っているのだろうか。