今年、日本株の上昇が「ほぼ確実」といえるこれだけの理由【経済の専門家が考察】
日本株の上昇が期待できる“構造的”な要因
実質賃金上昇、投資と生産増の好循環、インバウンドで日本の潜在成長率高まる しかし、2025年は繰り延べられていた円安によるJカーブ効果の発現が顕著になることは確実である。2025年も2年連続の5%賃上げが続き、実質賃金は2%を超えるプラスに浮上していくだろう。国民民主党の頑張りによる恒久減税の寄与も期待でき、実質消費は1~2%のプラスに浮上するだろう。 インバウンドの増加に加えてTSMC熊本工場の稼働など、設備投資増の生産力化も見込まれる。OECDの2025年経済見通しは、米国2.4%、ユーロ圏1.3%に対して日本1.5%と堅調な伸びを予想している。 日本の政策リスクは無視できる 2024年に株価の足かせとなった不適切な政策の発動懸念は、2025年は大きく薄らいでいくだろう。 2024年は7月に史上最高値を付けた後、「植田ショック」「石破ショック」という2つの政策ショックで、日本株式のボラテリティーが異常に高まった。植田日銀の前のめりの金融引き締め姿勢に驚き8月には3日で20%と言う大暴落が起きたが、その後の政策スタンスの修正で株価は元に戻った。 また、10月には金融財政引き締め政策を持論としてきた石破氏が自民党の総裁に決まったことで株価が急落した。しかし、すべての引き締めプランが棚上げされ、岸田氏の「新しい資本主義」の踏襲が打ち出されて、またまた株価は元に戻った。心配されている石破リスクも石破メリットに転換しそうな予感がある。健全財政と金融規律路線を主張していた石破氏は、君子豹変しその持論のほとんどすべてを反故にした。 円安のメリットは、インフレによる名目成長率の急伸や海外所得の増加となって、企業収益と税収増加をもたらしている。この企業利益と税収増加を家計に還流させるうえで、石破自民党の少数与党化は、恒久減税を主張する国民民主党に譲歩せざるを得ず、むしろプラスになっている。来年の参院選を睨めば、恒久減税の引き上げは、石破政権延命の決定打になるかもしれない。 国際政治を概観すると日本の優位性が一段と際立っている。中国やロシア、北朝鮮、イランなど専制国家に対する厳しいタンス、DEI(多様性、均等性、包括性)やPC(ポリティカル・コレクトネス)など、経済合理性を否定する心情の影響の小ささ、安倍・岸田政権から踏襲されているより透明で自由な金融を推進する「新しい資本主義」路線、等日本の政策のフレームワークは、グローバル投資家にとって極めて納得性のあるものである。