心を少し軽くする【親・兄弟姉妹との関係のヒント】「自分の気持ちも変わっていくから、関係は完全に断たないほうがいい」
遠慮がなかったり、うまく話せなかったり……近いからこそ難しい! 時にしんどい「親・兄弟姉妹との距離感」
長い間、一緒に暮らしてきた実の家族だからこそ、ちょうどいい距離感って難しいもの。いっそもう連絡をとらなくても!とすっぱり割り切れないのも、また家族ゆえ。このモヤモヤを、まずはみんなでシェア。そして、いい方向に向かうための手がかりを探ります。
経験者の言葉だからこそ、納得感あり! ちょっと心が軽くなる「親・兄弟姉妹との距離感」のヒント
心の底には愛情があるからなおのこと、実の家族は難しい! 家族に深くかかわってきた村井理子さんに、実体験からのアドバイスをいただきました。
INTERVIEW:「自分の気持ちも変わっていくから、関係は完全に断たないほうがいい」──村井理子さん
●村井理子さん/翻訳家、エッセイスト 1970年、静岡県生まれ。琵琶湖畔に、夫、双子の息子たち、愛犬とともに暮らす。家族に関する著書に、2人の母の姿を描いた『実母と義母』(集英社)、『兄の終い』(CCCメディアハウス)、『家族』(亜紀書房)など。最新刊は『エヴリシング・ワークス・アウト 訳して、書いて、楽しんで』(CCCメディアハウス)。日常をつぶやくXも人気。
──幼い頃の家族の思い出。実母の看取り。兄の突然の死と、その“終い”の記録。翻訳家として活躍しながら数々のエッセイも手がけ、中でも家族に関する著書も多く持つ村井さん。家族を書き続ける、その理由はどこにあるのでしょうか。 「私が学生時代に亡くなった父も含め、全員がいなくなっているということが大きいですね。私ひとりだけ残されている立場で、すごい喪失感というか、ぽっかり本当に穴が空いたような気持ちになっている。その感覚がやっぱり、家族を書くことにつながっていますね。それに、家族のことって書きやすいですよ。物書きとして書かずにはいられない(笑)」 ──飲食店を経営する多忙な母、気難しい父、幼い頃はやんちゃで、成長するにつれてどんどん無軌道になっていった兄。互いに思い合っていたのに、いつも何かが噛み合わず、「わが家は機能不全だった」と村井さん自身が思い返す家族。 「兄にはすごく苦労させられましたね。5年前に突然亡くなったんですが、お金を貸してくれだとか、もういろいろとあったので。私は『貸したらもう、最後だ』と、頑なに拒否した。後悔しているとすれば、『そのくらいのお金、貸してやればよかったなあ』って。兄の死という、その終着点がわかっていたら、貸した1万、2万で得られたであろうちょっとした幸せみたいなものを、与えることができたのになって。私自身が、もっと大人になって兄を支えればよかったと。結局は、突然死されたことで、それどころではない金額がかかりましたからね(笑)。『どうせお金がかかるんだったら、かわいそうなことしたなあ』って」 ──ともに兄の“終い”をやりきった、元義姉は、村井さんにこう話しました。 「『たぶん、理子ちゃんがあの人に“助けて”って言ったら、あの人すごく喜んだと思うよ』って。そっか、確かに兄はそういう人だったな、って思った瞬間に、自分の冷たさというか……うん、そこはやっぱりひとつ大きな後悔ではあります」 “昔は理解できなかった親の感情が、年を重ねた今、実感できるようになりました”
子育てに翻弄される時期は親まで気が回らないのは当然
…続きはLEEwebで! Staff Credit 撮影/馬場わかな イラストレーション/Aikoberry 取材・原文/福山雅美 本誌編集部 こちらは2025年LEE1・2月合併号(12/6発売)「時にしんどい 親きょうだいとの距離感」に掲載の記事です。